韓国では尿素水不足が継続しており、まだ危機が去ったわけではありません。今回の尿素水不足が骨身に染みたらしく、あの物質は○%、この材料は○%中国に依存している――などの情報がやたらメディアに出るようになりました。
次に危ないのは「マグネシウム」といわれています。
マグネシウムの輸出制限を行うと韓国自動車は干上がる
韓国の場合、どこをとっても危ないのですが(日本も決して他人事ではない)、先にご紹介したとおり「マグネシウムのインゴット」の輸入を中国に94.5%依存しています。
なぜマグネシウムなのでしょうか?
それは、世界的な半導体不足で工場が止まるなどを経験した自動車産業が、「今度はマグネシウム不足で生産困難に陥るのではないか」と注目しているからです。
例えば『Rueters(ロイター)』の2021年11月08日の記事では以下のように書いています。
(前略)
世界的なチップ不足から立ち直るヨーロッパの自動車メーカーは、最近、マグネシウムの不足が今のところ彼らの生産計画に対するリスクではないことを、株主に保証するよう急いでいる。しかし、自動車部品のサプライヤーや業界団体は、世界のマグネシウム供給量の85%を占める中国での生産がすぐにペースを上げなければ、自動車メーカーは材料の大幅な不足に直面する可能性があると警告している。
(中略)
自動車メーカーは通常、マグネシウムを大量に購入することはないが、自動車メーカーに主要コンポーネントを供給する部品メーカーは、マグネシウムに大きく依存している。
マグネシウムは、単独で使用することも、アルミニウムと組み合わせて自動車の重量を減らすこともできる。
(中略)
チップの不足により、新車の納期はすでに1年にまで延長されているのだ。
自動車業界筋によると、中国のマグネシウム輸出が迅速に回復しなければ、これらの待ち行列は長くなる可能性があるという。
(後略)⇒参照・引用元:『Reuters』「Automakers say magnesium shortage not a problem, for now」
また中国です。世界中がマグネシウムを85%も中国に依存しており、現在その輸出が滞りがちなのです。
で、韓国。
韓国メディア『ソウル経済』によれば、『現代自動車』『起亜自動車』のマグネシウムの在庫は1.5カ月分ほどしかない、とのこと。「中国がマグネシウムの輸出を40~50日絞るだけで自動車産業全体が止まる」と危機感を募らせています。
もちろんこれは、韓国の自動車産業だけに当てはまる話ではありません。
尿素・尿素水なら「なにやってんだ」で済むのですが、マグネシウム不足は欧州、アメリカ合衆国、日本にとっても大きな懸念材料です。
自国産業の弱点を喧伝しない方がいいのでは……
「押すなよ、押すなよ。絶対に押すなよ」というが前フリになるのと同じで、あまり「これが100%依存」「あれを止められたら産業が止まる」などと声高に喧伝しない方がいいと思うのですが……。
特に中国については。
自由主義陣営の国、先進国なら法に則った行動を取りますので、自由貿易についてよほどのことがない限り、突然輸出を止めるなんてことはしないでしょう。
しかし、中国の場合、気に入らないことがあると、なんだかんだ難癖をつけ、平気で輸出制限を行います。完全なWTO違犯の行為といえますが、中国はそのようなことを歯牙にも掛けません。
ですから韓国もあまり「在庫が1.5カ月分しかない」などの情報を表に出さない方がいいと思われます。中国の機嫌を損ねるようなことがあるとそこを突かれますので。
(吉田ハンチング@dcp)