韓国外相の「だだっ子の言い分」のような発言。「日本は合理的になれ」「日本はかたくな」

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韓国鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相が非常に興味深い発言を行っています。「朝鮮戦争の終戦宣言」と「日本との懸案」についてです。

本当に合衆国と合意した文書はあるのか?

先に記事にしたときには、韓国の外交部から正式な文書が出ていませんでしたので、仕方なく韓国メディアの報道から引きました。

しかし、2021年12月29日、鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官(外相)の発言を明記したプレスリリースが外交部から出ました。

確認してみますと、確かに「終戦宣言の文書についてはアメリカ合衆国と事実上合意した」と言っています。

以下が韓国の外交部が出した、記者対象のブリーフィングのプレスリリースとその和訳です。ご覧ください。

<質問>
今、北朝鮮で朝鮮労働党の中央委員会総会が行われていますが、対外政策の発表で対南、対米関連で融和的なメッセージが出た場合、終戦宣言に関する具体的な提案をする計画があるのですか。

また、北京オリンピックに関しては、韓国政府は直前開催国としての役割を果たすとして、事実上外交的ボイコットに距離を置く姿を見せたが、もし代表団派遣を決定することになればいつ発表をするのか、また派遣する代表の級はどれくらいにするつもりなのかお願いします。(『聯合ニュース』キム・ウンジョン記者)

<回答>
北京オリンピック関連を先に申し上げれば、外交的ボイコットは検討していません。ただし、どのような方法で参加するかについては、政府内でさまざまな状況を検討して決定する予定です。

北朝鮮中央委員会総会は現在も継続されているため、昨年同じケースでは党中央委員会全員会議で決定文を通じて私たちと合衆国に対するメッセージを発信しました。また、年末に総会を行って新年はしないといった事例もあり、今年どのような方法で北朝鮮が私たちに対する対外的なメッセージを送るのか注視しています。年初まで見守ってこそ状況が明らかになるでしょう。

終戦宣言に関しては、米韓の間ですでにその重要性については共感をしており、終戦宣言文案に関してもすでに事実上合意になっている状態です。

前回リバプールで開催されたG7外交長官会談でも、私はブリンケン国務長官に会ってこの事実を再確認しました。ただし、北朝鮮との協議をどのように進展させなければならないかについては、さまざまな検討を行っています。
(後略)

⇒参照・引用元:『韓国 外交部』公式サイト「長官内信記者対象ブリーフィング(12.29)」
赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)

「終戦宣言文案に関してもすでに事実上合意になっている状態」「ブリンケン国務長官に確認した」と言っています。後戻りできない発言です。

さらに以下の部分。

<質問>
文案については事実上の合意になったとおっしゃいました。

この文案に朝鮮半島の安全保障を脅かすことができる事案に対する安全装置が含まれているのか、そして北朝鮮が要求した前提条件について米国とどのような議論をされたのか教えてください。(『テレビ朝鮮』クォン・ウンヨン記者)

<回答>
ご存知のように、米国はいつ、どこでも、いかなる議題に関しても条件なしで会って協議する意図がある、こう明らかにしており、北朝鮮に対する敵対的な意図もないことを何度も明白に明らかにしてきています。

また、北朝鮮が積極的に呼応してくる場合には、人道的協力をする意図もあると発表してきました。

終戦宣言は、韓国政府としては朝鮮半島の完全な非核化、また恒久的平和定着を成し遂げていく過程で必須の重要なステップだと見ています。

特に、現在のように会話が中断された状態では、会話再開のための非常に有用なきっかけになると見ています。

特に最近、北朝鮮が韓国側の終戦宣言のための動きに対して、一連の迅速かつ肯定的な反応を見せており、また南北間には2007年10.14声明、また2018年4.17板門店宣言を通じて終戦宣言推進に既に合意をしています。

そのような状態なので、私たちが終戦宣言を積極的に推進する際には、北朝鮮がより肯定的に呼応してくることを希望しています。
(後略)

⇒参照・引用元:『韓国 外交部』公式サイト「長官内信記者対象ブリーフィング(12.29)」

記者の「合意したという文書の中に『安全装置となる文言』はあるのか?」という質問には答えていません。

また、勝手に合衆国の立場を述べていますが、合衆国は「会って話をするのは別に構わない」が、「見返りを与えるのは非核化へのステップが決まり、北朝鮮が履行してからだ」という立場を(現在のところ)変えていません。

そのため「北朝鮮が積極的に呼応してくる場合には、(合衆国には)人道的協力をする意図もある」と述べているのは微妙です。南朝鮮の「北朝鮮を支援したいという希望」、南朝鮮の「終戦宣言を出してから不都合なら撤回してもいいだろう」という詭弁を合衆国に仮託して述べたようにも見えます。

繰り返し疑問です。合衆国と合意したという「終戦宣言の文書」なるものは本当に存在するのでしょうか。この韓国外相の発言に対しての合衆国の反応をぜひ知りたいところです。

日本に「もう一度ボールを投げてくれ」とねだる

次に日本関連の質問に対する鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相の発言です。以下をご覧ください。

<質問>
2つの質問があります。

まず強制動員と慰安婦問題で日韓関係がずっと膠着状態を見せています。このためにいろいろと努力をしてきましたが、日本側では特別な反応がないようです。

今後どんな点に力を入れるつもりでしょうか。特にツートラックアプローチが日本に有効だとまだ見ているのか、それに対する考えを教えてください。
(後略:2つ目の質問略)

<回答>
まず、日本は、私がかつても申し上げましたが、私たちが価値を共有し、平和と繁栄のために一緒に努力しなければならない近隣の国です。

そして岸田新政府発足以降、首脳同士の通話でも未来志向的な発展、また懸案解決のために緊密なコミュニケーションを続けようという共感を成し遂げ、外交部実務次元での対話も着実に続いています。

過去の問題については、被害者中心原則に従って現実的な解決策を着実に模索していくというのが韓国政府の一貫した立場です。

そこで韓国政府としては、被害者との対話を続けながら、この問題解決のための現実的な方案をずっと日本側に提示していますが、日本がもう少し前向きで合理的な対応をしてくれることを私たちは期待しています。

それ以外にも日本とはさまざまな懸案がありますが、懸案は懸案として私たちは外交当局間の緊密なコミュニケーションを通じて協議を続けなければならないと考えています。

皆さんもご存じのように、過去史に関連する懸案は、それほど簡単に解決できる問題ではないと思います。

例えば、2015年の慰安婦合意も被害者が抱えている問題の真の解決のためには難しかった。そのような合意内容でした。

しかし、私たちの政府の発足後、これが政府間の公式合意であるため、その合意を打開したり、再交渉をしないという原則をもってこの問題を解決するように努力しているため、とても難しいのです。

これらの政府の立場はまだ変わっていません。

ですから、こうした問題を解決するために、日本がもう少し真正な姿勢にならなければならない、というのが韓国政府の期待です。ずっと努力していきます。
(後略)

⇒参照・引用元:『韓国 外交部』公式サイト「長官内信記者対象ブリーフィング(12.29)」

そもそも文在寅大統領は2015年の合意をなかったものにしようとしていましたが、(合衆国に怒鳴りつけられたのか)政府間の正式な合意であると認め、「主張を覆そうという試み」を覆しました。で、事態は「韓国が合意を守っていない」でFIX。合衆国もそれを認める状況で現在に至っています。

で、韓国政府としてはどうしようもない。

「日本がもう少し真正な姿勢にならなければならない」などと述べていますが、この言葉はそっくりそのまま韓国に返せます。韓国は、国家間の約束に対してもう少し真正な姿勢になるべきでしょう。

さらに以下の部分。

<質問>
長官、10月の国会外通委国政監査の際、チョ・テヨン議員と12.18合意に関連して文在寅政府の原罪について舌戦を交わした過程で、長官がこれまで日本との協議過程を紹介いただいたことを記憶しています。

その時、「両性平等基金」名目で100億ウォンを作って日本に送る方法、残りの65億ウォン(恐らく56億ウォンの間違い:筆者注)を合わせて慰安婦被害者たちを称えるための別途の活動をする方法がありました。その後どうしたのか、進展があったのか​​、そしてこれを日本が拒否し、まったく反応を見せなかったのなら、他にどんな構想があるのか教えてください。(『NEWSIS(ニューシス)』ナム・ビンナラ記者)

<回答>
ご存知のように日本が慰安婦被害者たちを慰めるために私たちに提供した10億円、それを運営するための「和解・癒やし財団」を私たちが設置をしました。

しかし、多くの被害者のおばあさんが「和解・癒やし財団」から支援を受けることを拒否しています。

そのため、「和解・癒やし財団」をこれ以上運営することは現実的に不可能でした。なぜなら、財団を運営する費用が毎年必要なのです。そしてそのお金はどのようにも使うことができず、そして多くの被害者のおばあさんが本当に望むのは日本の真正な謝罪です。お金が欲しいのではありません。

しかし、政府としては、彼らに対する最低限の慰めをしておくためには、政府予算で別途基金を設けて支援する方法なども検討をして、従って両性平等基金を作ったのです。

おばあちゃんたちはこのお金が基金からでも支援を受けたくないし、「まず日本の真正な謝罪からもらいなさい」という要求をしてきて、日本側にそういうさまざまな方案を私たちが協議したのはよくご存じでしょう。

日本は最後まで私たちに2015年の合意をそのまま守らなければならない、という立場を頑強に固守しており、まったく進展を成し遂げられていないのです。

韓国政府は現実的に柔軟な立場を持って日本を説得し続けています。ずっと努力しなければならないようです。

そこでこの基金は「和解・癒やし財団」で活用し、今残っている基金、また我が政府が別に造成した「両性平等基金」でこれをどのように日韓が合意して使えるか、こういう方案を日本側と引き続き協議をしています。

原罪という表現は、その当時に直接言葉を聞きませんでしたが、韓国政府に原罪があるという表現は適切ではないと思います。

その原罪がどこにあるのかは皆さんはとてもよくご存じでしょう。

慰安婦問題に関する原罪がどこにあるのでしょうか? 慰安婦問題は、史上類例のない戦時女性の人権蹂躙であり、女性の基本的人権を侵害した事例です。

ですから、この被害者の名誉と尊厳を回復し、抱えている心の傷を回復することこそ韓国政府がなすべきことだと私は見ています、このような被害を与えた国も私たちと同じ姿勢でこの問題に対しては取り組まなければならないと見ているのです。
(後略)

⇒参照・引用元:『韓国 外交部』公式サイト「長官内信記者対象ブリーフィング(12.29)」

「日本は最後まで私たちに2015年の合意をそのまま守らなければならない、という立場を頑強に固守しており、まったく進展を成し遂げられていないのです」と、日本のせいで問題が片付かないような発言をしています。合意を反故にしたのは韓国政府の方です。日本が「合意をそのまま守れ」と主張するのは当然のことでしょう。

ボールは韓国側にあるのです。「もう一度ボールを投げてくれ」というのはだだっ子の泣き言です。

(吉田ハンチング@dcp)

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