韓国では年明け早々に補正予算の議論がかまびすしくなっています。
「もうなの?」という話なのですが、コロナ禍によって経済的苦境に陥った自営業者、個人事業主の皆さんの「政府が損失を補てんしなければならない!」という怒りの声はすさまじく、政府も対応せざるを得なくなったのです。
14兆ウォンの補正予算をまとめたが……
韓国の企画財政部は、2022年01月21日、補正予算案を以下のように「14兆ウォン」(約1兆3,440億円)規模と取りまとめて公表しました。
14兆ウォン規模の2022年追加経済予算案編成
規模は総額14.0兆ウォン
❶二次防疫支援金300万ウォンなど小商工人支援11.5兆ウォン
❷病床確保、治療薬追加購入など防疫補強1.5兆ウォン
❸予備費1兆ウォン
で構成⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「2022年追加経済予算案」
この予算案は国務会議(重要な政策を審議する:立法府ではなく行政府の機関)の承認を得て、国会に回ったのですが……もめています。
政府与党『共に民主党』から「35兆ウォン規模に増額しなければならなーい!」と横やりが入ったからです。支援対象をさらに200万人拡大しろと注文しているのです。
ちなみに野党『国民の力』は「50兆ウォン以上に拡大せよ」と要求しています。
洪長官が立ちはだかる!
次期大統領選挙がすぐそこまで迫っていますので、与党『共に民主党』には、ばらまきで票を集めようという意図があるものと推測できます。
しかし、あの洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官が「増額に反対」との意思を明確にしており、『共に民主党』議員から攻撃されています。
洪長官は「たとえ与野党で増額しろと言っても政府は反対だ」と言い切っています。
洪長官は「物価や国債市場に与える影響を考慮して反対」としています。インフレが進行しているので本来ならお金の量を減らさないといけないのですが、支援金をまくというのは真逆の行為です。つまり、金融当局のトップとしてはそもそもやるべきではないのです。
また、支援金を増額すると赤字国債の発行が巨額になります。それで債券市場が飽和状態になったりしたら、国債価格が下がって利回りが上がります。これは市中金利への上昇圧力になります。ただでさえ、「金利が上がったら危ないんじゃないの」と懸念されているのに、金融当局トップが導火線に火をつけるような行為はできません。
なので、洪長官の反対には妥当性があります。
しかし、次期大統領候補である李在明(イ・ジェミョン)さんも党と一緒になって洪長官を攻撃しているのです。
李在明(イ・ジェミョン)さんは、洪長官の増額反対表明に「任命権力は国民が直接選出した選出権力の指揮を受けるのが正常」と発言。要は「議員の言うことを聞け」と言ったわけです。
李在明(イ・ジェミョン)さんは「企画財政部は解体した方がいいんじゃないか」などと述べたことがある人物なので、さもありなんですが、「わが屍を乗り越えよ」みたいな展開になっております。
さて、この補正予算の増額論争がどのように決着するのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)