「アメリカがデフォルトするかも」という話がここに来て盛り上がっています。連邦政府を運営する資金が足りず、早く国債を発行してお金を調達しないといけないのですが、アメリカには「連邦政府の債務上限」というものが設定されています。
■「債務上限」とはナニか
「連邦政府の債務上限」は政府が際限なく国債を発行して、つまりは借金を重ねることを防ぐための歯止めになるものです。前オバマ政権のときにも注目されたので記憶しているという人もいらっしゃるでしょう。2013年に「連邦政府デフォルトか?」という事態に陥って、債務上限の枠を上げるかどうかが大議論になり(期限の09月30日までに議会承認されませんでした)、その結果、一部政府機関が閉鎖されたりしました。
「またか」という感慨がないでもないですが、「また」なのです。2017年09月までの資金めどはついているのですが、その後がマズイ状況になっています。なにせアメリカ議会は09月05日まで夏休み。議論が始まるにしてもその後です。資金の手当てがついている間に承認されるかは不透明なのです。
■「メキシコ国境の壁」優先? 正気なの?
この債務上限問題に、メキシコとの国境に築くという例の「壁」が絡んでいるというヘンな情勢になっています。トランプ師匠は、大統領選の最中からこの壁を不法移民対策として掲げてきました。トランプ大統領となった今でも、壁建設を推進する意図は変っていないようで、この予算を確保するためなら「政府機関の閉鎖もやむなし」と共鳴する議員(下院の共和党保守の一部)がいることです。
08月22日には、トランプ師匠はフェニックス州で開かれた支持者の集会において「政府を閉鎖しなければならなくても、壁を建設する。国民は移民規制に票を投じた」と述べています。
デフォルトするかどうかの瀬戸際になってまで壁の件を絡めてくるのがスゴイですが、この「債務上限問題」は金融市場に大きなインパクトを与えます。アメリカの国債は「リスクフリー」と呼ばれます。紙切れになる可能性がきわめて低いと認識されているからです。
その信頼度が揺らぐと、当然アメリカ国債の金利が上がり(信頼性が低くなると高い金利を付けないと買ってくれないから)、連邦政府にとって借金のコストが上昇します。つけ回しがそれだけではなく、この金利上昇が市場に与えるインパクトは大きなものです。上記のトランプ師匠の発言ですでに市場には波紋が広がっているのですけれども。
(柏ケミカル@dcp)