銀行にお金を預けていても金利が低くて増えません。金融庁が「預金から投資へ」と大号令を掛けていることもあり、投資初心者から「ETF」が注目されるようになっています。今回は、ETFについてご紹介します。
■「インデックスファンド」を上場したもの
ETFは「Exchange Traded Fund」の略で、日本語では「上場投資信託」と訳されます。投資信託を(市場に)上場したもの、という意味ですね。
「投資信託」(fund:ファンド)とは、投資家から資金を募って、集まったお金を「専門家」(ファンドマネジャー)が運用し利益を出すというもので、イメージとしてはまあ一種の「基金」です。
ところが、この専門家というのが敏腕であればいいのですが、ボンクラの場合には運用しても利益が出ないということがあり得ます。しかも、往々にしてあることなのです。
ファンドマネジャーの判断に従って株式を売買してみたけれども、「S&P500」の平均利回りの方が良かった(アメリカの場合です)、なんてことになるわけです。ダメダメな話ですね。
そこで、市場平均を上回ることができないのであれば、市場平均と同じ水準の利回りを出せるような金融商品を開発して、そこにお金を投資した方がいいんじゃないの? という考えがでてきます。
これがインデックスファンドです。その中身には、INDEXの示す利回りと連動するような株式、債権などが選ばれます。この選択さえ適正であれば、少なくとも市場平均と同じような結果が出るはずですね。
インデックスファンドのインデックス(INDEX)は株式にとどまりません。株式、REIT(不動産債権)、通貨、コモディティ(金・原油など)の各種指数が「連動する指数」として選択されます。例えばアメリカなら、S&P各種、ダウなどです。日本であれば、日経平均、TOPIXなどです。
イメージ的には「ETFはインデックスファンドを市場に上場したもの」です。インデックスファンドはあくまでも基金のようなものですから、その取引は1日1回だけと決っています(1日1回基準価格が計算される)。
しかし、ETFは取引所の開いている時間内に自由に売買できるのです。株式市場と同じく相場がありますので、安く買って高く売るということも可能です。
■ETFを買う際に気を付けること
ETFにはさまざまな種類があります。同じ日経平均と連動しているETFでも中身は異なっていますし、販売会社によって売買手数料が違っていたりします。
ETFを購入する際に気を付けなければならないのは、以下の点です。
・売買手数料が安いこと
・信託報酬(運用手数料)が安いこと
ETFは、各種インデックスと連動していますので、その利回りはインデックス次第です。つまり、取れる利益には上限があると考えなければいけません。購入・保有に掛かるコストが低ければ低いほど利益は大きくなります。ですから、同じETFを購入するのであれば、できるだけ安く買えるところ、安く保有できるところを選ぶべきなのです。
山崎元先生は、
●運用商品評価の基本原理
+)市場リターン ←共通
+)運用スキル ←評価不能
-)手数料 ←確実な差
=============
運用商品のリターン
という原理を挙げていらっしゃいます。誠に正鵠を射た識見といえます。特に投資初心者の皆さんは、証券会社のセールストークなどに引っかかることなく、コスト(手数料)の覧をしっかり見て、判断するようにいたしましょう。
⇒楽天証券「第257回 “超合理的”ETF活用術」山崎元
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/opinion/fund/yamazaki/0257.html
(柏ケミカル@dcp)