韓国では1人当たりのGDPが3万ドルを超えたということで、日本に追いつき追い越すのも遠い未来ではないという観測しています。しかしながら、その数字以上に「雇用」について差があって、日本に追いつくのは容易なことではないのです。
『経済研究院』マクロ経済研究キム・ナムジュ副研究委員が「韓国と日本の青年失業比較分析と示唆」という非常に興味深い講座を行っています(ただし2019年までのデータを基にした分析)。
タイトルどおり、日本と韓国の青年層、主に二十代の若者の雇用について比較したものですが、結論からいえば、
韓国の青年の雇用について
韓国では雇用の質が悪い
韓国では雇用の量が少ない
となります。
キム委員の分析によれば、2012年から2019年にかけて韓国では青年層の失業率が高いことは慢性化しており、例えば、
3年以上かかった人:10%超
というデータがあります。また人口減少についての分析もあります。
しかし、失業率は20%台を行き来している
つまり、日本よりも速く青年の就業人口が減少してきているということです。
仕事の質という部分では次のデータがあります。
韓国では大企業の雇用:全雇用の14.3%
(しかも韓国のこのデータは官公庁も全て含めてのもの)
大企業の全てが雇用の質が良いというわけではありませんが、やはり大企業の方が賃金も高く、福利厚生も手厚い傾向があります。日本のデータには官公庁を含めず、民間の大企業のみですが、韓国の統計では官公庁も大企業として含めてこの数字なのです。韓国で公務員を目指す人が多いといううのは、大企業に就職を目指すのと同じ意識だからかもしれません。
さらに次のデータが非常に興味深いのです。
(中小企業では大企業の何%の賃金なのか)
日本:80%水準/大卒初任者の場合90%水準
韓国:55%水準/大卒初任者の場合62%水準
日本でも韓国でも、中小企業の賃金が大企業よりも劣ることは確かですが、韓国の場合はその劣る量が非常に大きいのです。半分とはいかないまでも「大企業の55%水準」です。つまり、格差が非常に大きいわけで、1人当たりのGDPで3万ドル超といいますが、これをもって「韓国の人は豊かになった」と額面どおり受け取ることはできません。
韓国では格差が大きいため、たとえGDPが膨らみ、1人当たりのGDP・所得などの数字が大きくなっても、日本よりもずっと苦しい生活を送っている人が多いのです。
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト
(吉田ハンチング@dcp)