中国はいまだに「中国製造2025」を諦めてはおらず、水面下で(技術窃盗も含めて)各種開発を進めています。「半導体崛起」はいうに及ばず、データベースについても国産でなんとかしようと大金を突っ込んでいます。
大金があるところには「詐欺」がある――のが中国で、それはMoney1でも散々ご紹介してきたとおりです。お金を集めて逃げちゃう、資金がショートして半導体工場の建設が頓挫など、挙げればキリがありません。
今、中国語メディアで「すわ、新たな詐欺か!」と話題になっているのが貴州省の『贵阳银行』です。
※真相が分からないのであくまでも噂と考えてください。ただし状況証拠は黒いという他ありません。
同行は、中国の国産データベースシステムの技術を持つという『易鲸捷信息技术有限公司』(易鲸捷)に、新データベース開発のために計約4.71億元(2019年02月に4,398万元/2020年10月に4.27億元)を投入。
ところが、後にこの新データベースというのが、国産どころか『Oracle(オラクル)』社のものだろ――と指摘されました。
↑『易鲸捷』のホームページには『贵阳银行』のロゴが入っています。
そもそも、この『易鲸捷』が相当怪しいのです。
「同社の中核製品は世界初の次世代統合型分散データベースであり、Oracleなどの世界のトップテクノロジーと技術的に競合することができ、相互に互換性があります」となっているのですが――。
同社の2017年度の研究開発費は「0元」で、その後の3年間の研究開発費はそれぞれ103.1万元、1,964.7万元、2,585.2万元でした。
つまり、総額4.71億元の『贵阳银行』の大型プロジェクトを、わずか3年間でしかも研究開発投資が「総額4,653万元」しかない新興企業が獲得したということになるのです。
どうやって?
「世界初の次世代統合型分散データベース」なるものがいったいどんなものなのか分かりませんが、この国産データベースが2023年に至るも「動いていない」のです。
2021年05月の評価リポートでは、『贵阳银行』が購入した「コア・トランザクション・マスター・データベース」は、2022年前半に正式に稼動する――となっていたのです。 しかし、その国産データベースが稼動していることが確認できません。
それどころか、この国産データべースなるものがどうにもならないので、オラクル社のシステムを導入し直したのではないか、という噂すら流れているのです。
つまり、もともとはオラクルを使っていたのですが、これを国産を謳うものに置き換えようとし、うまくいかなかったのでこっそりオラクルに戻した――というわけです。
中国語メディアによると「貴州省の銀行がアメリカ合衆国からシステムを盗んだという噂について、『贵阳银行』『易鲸捷』『オラクル』のいずれもコメントしていない。
システムのアップグレード作業が2023年11月03日から11月06日にかけて行われたが、再開されたオンライン基幹業務システムが『易鲸捷』と『オラクル』のどちらのデータベースを使用しているのか、『贵阳银行』は明言しなかった」
となっています。
約4.71億元といえば、日本円で約98.3億円です。
総額約100億円の開発費といえば、相当なものです。しかし、その実体が『オラクル』から盗用したものだとしたら、その開発費はほとんどが抜かれたことになります。さあ、そのお金はどこに行ったのでしょうか?
面白いことに――この『贵阳银行』から幹部が次々と去っています。
お金はどこに行ったのでしょう。実に不思議な話ですね。
(吉田ハンチング@dcp)