韓国の「原発輸出」にまつわるドタバタな話 「東芝の災難」「壁に亀裂」「密約アリ」etc

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韓国では原子力発電所の輸出に力を注いできました。現在までのその唯一の成果は「UAEに原子炉4機を持つバラカ発電所を建設する」というものです。

これはこれで立派なものですが、2009年12月27日、当時の韓国李明博大統領がUAEのナヒヤーン大統領と契約を交わしてからすでに10年近くですが、いまだにこの原発は稼働しておりません。

当初は2017年には1号機が完成・2018年には稼働という予定でしたが、遅延を繰り返し、やっと最近になって「1号機の燃料装填は完了し、稼働に向けての準備に入っている」という報道が出たのです。

⇒参照・引用元:『聯合ニュース』「UAEバラカ原発1号機の燃料装填が完了 韓国の輸出第1号」

今回は、この原発について現在までのドタバタをご紹介しますが、まずは日本に関係することから。

2008年、東芝から原子力発電の制御システムの設計データなどが記憶されていた外付けハードディスクが紛失するという事件が発生しました。これが韓国の斗山重工業に流失したといわれています(確証取れず)。

2009年12月、韓国企業連合はUAEから4機の原子炉建造を受注。これは韓国電力公社、現代建設、サムスンC&T、斗山重工業などから成る企業連合です。

受注にはフランス連合(フランス電力・アレバ)、日本合衆国連合(日立製作所・GE・エクセロン)も参加していたのですが、韓国企業連合に敗れてしまいました。

このとき韓国企業連合には原発を輸出した経験はなかったのです。

格納建屋でグリス漏れが発見される

2012年からバラカ原子力発電所として建設を開始しましたが、途中で自分たちだけでは無理な点が発覚し、東芝・GEに技術供与を求める始末。仕方がないので東芝・GEは求めに応じました。ただし、完成品には責任を持たないという条件を付けてのことです。

建設は進みましたが、2017年08月に3号機の格納建屋で外壁に亀裂があることが判明します。注入したグリス(コンクリート内部の鋼線の腐食を防ぐために用いられるとのこと)が漏れ出していたのです。

亀裂は建設していた4機の原子炉全てで見つかりました。

実は同様の亀裂は、後になって2018年08月に韓国国内の原発でも見つかり、自国内の原発の不備な点をそのままUAEにも移転したと見られます。このような不手際のせいもあって、2017年1号機完成、2018年運転開始を予定していたのですが、2020年03月現在もまだ稼働していません。

ところが、前記のとおり2020年03月04日に報道が出て、1号機の燃料装填は完了し、稼働に向けての準備に入っているというのです。「大丈夫なのか」と思われるでしょうが、これは専門家も同じ感想を持つようで……。

韓国型原発は「エアバッグと安全ベルトなし」

韓国が主張する「韓国型原発」の安全性について海外メディアから懸念を表明する声が挙がっているのです。

『中央日報(日本語版)』2020年02月14日の記事によれば、原発コンサルティング専門家ポール・ドーフマンさんは『エコロジスト』への寄稿文の中で次のように述べています。

「韓国がUAEに建設している低価格型バラカ原発の設計図では二重格納建物が抜けている」

「欧州では必須のこの装置がないというのは、エアバッグと安全ベルトなしに車を運転するのと変わらない」

⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「『韓国型原発は信頼できない』…牽制する海外メディア」

受注できたのは「激安」で無理スジなオマケも付けたから

さらに、韓国がUAEと契約した内容について密約があった、と暴露話が出ました。

そもそも受注金額が「200億ドルという破格に安価だったためですが、

・60年の稼働保証
・12兆ウォンの借款を約束

という条件の上に、

・UAEに何かあったら韓国軍が自動参戦する

という密約まで交わしていたのです。

この密約(こうなると「秘密軍事協定」です)は文在寅さんが大統領になってから暴露されました。

文政権はこれを「密約だったので無効」とする態度を見せたため、UAEのムハマンド皇太子は激怒し、韓国・麗水に備蓄していた600万バレルの原油を全て引き上げました。

⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「UAE、麗水に備蓄していた原油600万バレルを引き上げる」(原文・韓国語)

長くなるので短くまとめますが、韓国とUAEの応酬は以下のように続きました。

2017年、UAEが運用・整備に関する契約を国際入札に切り替える。
(もともと韓国と随意契約する予定だった/以下の※を参照)

2018年、韓国がバラカ原発から150人の専門家を引き上げる。

2019年、バラカ原発の保守事業は複数で分け合うことに(5年間)
(韓国は単独・一括受注・長期契約を目指していた)

当時の報道の多く(特に韓国メディア)は「原子炉4機で400億ドル」となっていますが、後にこれは「運用・整備などの保守事業での200億ドル」が追加受注できたら……を含んだものであったことが分かっています。

⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「韓国、UAE原発輸出7年目に1兆ウォン台の運用人材輸出(1)」

また、韓国企業連合の400億ドル(総額)がどのくらい安価だったかというと、フランス連合が提示した金額が「700億ドル」、日本合衆国連合が「900億ドル」だったという推定がありますので、「本当にそれでできるの?」というような金額だったのです。

⇒参照・引用元:『三万人のための情報誌 選択』「韓国『UAE原発落札』の衝撃」
https://www.sentaku.co.jp/articles/view/9267

「脱原発」を掲げる文大統領登場!

さらに韓国の原子力産業にとって悪いことに、2017年05月10日から文在寅さんが大統領に就任します。

文大統領は06月には「脱原発政策」を掲げ、韓国国内では再生可能エネルギーを拡大し、その一方で「原発輸出は推進する」という方針を採ります。「よその国に造るのはいいのか」という、いかがなものかな態度です(もっとも日本だって偉そうなことはいえませんが)。

ところが、韓国内で原発が推進されないということで、韓国企業連合の一角を担っていた斗山重工業がリストラを開始。原発に関わってきた人材80人が退職し、同社の関係者は「高度の専門知識を持つ従業員なので打撃が大きい」と述べたとのこと。

⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「脱原発核心人材」エクソダス…340人離脱」(原文・韓国語)

というわけで、韓国の原発輸出に関するドタバタをまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。モノがモノだけに安全性だけはしっかりしてもらいたいものですね。

(柏ケミカル@dcp)

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