「パラボリック(parabolic)」は上昇・下落トレンドの転換点を示す指標(INDEX)です。略して「パラボリック」という言い方が一般的ですが、「Parabolic SAR(パラボリックSAR)」という呼称がより正確にこのINDEXの特徴を表しています。
「パラボリック(parabolic)」は「放物線」という意味ですが、これは、以下のように「SAR」(後述)がチャート上に描くラインが放物線のように見えることからその名前があります(チャートは『株マップ.com』「クオンツチャートβより引用」)。
ロウソク足のチャートの上下に表示されている、赤いライン、青いラインがパラボリックSARのラインです。
名称の後半部分「SAR」は「Stop And Reverse(ストップ・アンド・リバース)」の略で、(上昇・下落)の停止(stop)と反転(reverse)を意味しています。
パラボリックSARは、「上昇・下落トレンドの終わりと反転」いわゆる「どてん」のタイミングを教えてくれるINDEXというわけです。
■「SAR」はどのように計算されているか?
再度、2018年01月11日から2018年04月06日までの任天堂(7974:東証一部)のチャートにパラボリックSARを見てみましょう。
青色のラインがいわゆる「+パラボリック」、赤色のラインがいわゆる「-パラボリック」といわれるもので、それぞれ「上昇トレンド」「下落トレンド」を示しています。
これは以下の式で計算されます。
SAR = 前日のSAR + AF × (EP – 前日のSAR)
AF:加速因子(0.02 ≦ AF ≦ 0.20)
EP(Extreme Price:極大値):前日までの最高値・最安値
SAR:パラボリックSARの値
式が登場すると読むのも面倒になりますが、少しご辛抱ください。
上昇・下落のトレンドには勢いがあって、しかしその勢いはいつまでも続くわけではありません。どこかで上昇・下落は勢いを失って静止し、トレンドが反転することになります。
SARは直前(前日)の最高値・最安値を元にそのトレンドから導かれる価格を予想しようとするものです。またトレンドの勢いを表すものとして加速因子(AF)があります。
この数値の初期値は「0.02」で、上昇トレンドの場合「新高値を更新したら+0.02ずつ足す」、下落トレンドの場合「新安値を更新したら+0.02ずつ足す」という変更を加えます(ただし、AFは最大でも「0.20」まで。これ以上は増加させません)。
これによって「トレンドの勢いの加速」を指標の中に組み込もうとしているのです。「0.02」という数字の根拠は、パラボリックSARの考案者であるJ.W.ワイルダーの経験即から導かれたものです。
これを計算していくと、SARが実際の値動きにクロスする点が出現します。
●上昇トレンドでSARが予測する価格を最安値が下回った場合
●下落トレンドでSARが予測する価格を最高値が上回った場合
には、それまで続いていたトレンドが反転すると見るのです。
上掲のように実際のチャートを見てみると、そのポイントでパラボリックSARの「+」「-」が反転しているのが分かりますね。
このようにパラボリックSARはポジションの転換点を投資家に教えてくれるINDEXなのです。
J.W.ワイルダーは「RSI」「DMI」を開発した人でもあります。パラボリックSARは非常にユニークなINDEXですが、やはりこれだけを見て売買するのはいけません。他のINDEXと組み合わせて使うことをお薦めします。
(柏ケミカル@dcp)