証券会社、識者から「ムリ筋だ」と指摘されていたテスラの株式非公開化ですが、08月24日に「公開市場にとどまるという決断を下した」とイーロン・マスク(Elon Reeve Musk)CEOが声明を出して頓挫となりました。「やっぱり無理でした」というわけで、テスラ株は下落。投資家からすれば馬鹿馬鹿しいという他はないドタバタでした。
しかし、「すわテスラ株非公開化?」から「マスクCEOによる断念発表」までに間に興味深い幕間騒動がありました。
この幕間は「モルガン・スタンレーが08月21日にテスラについてカバレッジを停止」との報道に端を発します。同社が「Webサイト上でテスラの投資判断について『表せず』とした」のです。モルガン・スタンレーから理由の説明はありませんでしたが、カバレッジの停止は「テスラ株の非公開化」に同社が関与しているからと考えられたのです。モルガン・スタンレーがテスラ株の先行きに関与する当事者になると、利益相反の観点から「テスラの業績や株式の評価」はできません。自分の利益のためにテスラをひいき目に評価するなどは許されないからです(同様に貶めることも許されません)。
つまり、「カバレッジできなくなった=モルガン・スタンレーが関与している」⇒「420ドルで非公開化するのに現実味が出てきた」と市場から推測されたわけです。この報道の後、テスラの株は上昇しました。420ドルで買い取られるなら今のうち(320ドル近辺でした)に買っておこうと投資家が動いたのです。
しかし、結局のところ「やっぱり無理でした」というマスクCEOのギブアップ宣言により、このトレンドも雲散霧消。テスラ株は上記のとおり下落しました。こちらもアホらしいといえばそれまでですが、実にテスラらしい幕間騒動だったとえるのではないでしょうか?
(柏ケミカル@dcp)