中国の人口増加問題です。海外メディア・人口学者は中国の人口は2020年に14億人を割っただろう、と推測しているのですが、中国当局は「いいや。2020年の人口は14億人よりも増えた」と主張しています。
2021年05月11日、中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』は「China’s population grows to 1.412 billion in 2020, but likely to ‘decline as early as 2022’」(中国の人口は2020年には14億1,200万人に増えるが2020年には早くも減少に転じる)という記事を出しました。
まず以下をご覧ください。
中国の人口発展が重大な転換期に入り、5年間続いた人口の増加傾向が間もなく終わるというタイミングで発表された「10年に一度の国勢調査の結果」によると、中国本土の人口は2019年末の14億人から2020年には14億1,200万人に増加した。
(後略)
(後略)
14億1,200万人に増加したというのが中国の公式な見解です。しかし、以下のように中国の人口がもはや増加フェーズにはないことをこの御用新聞の記事でも認めています。
(前略)
中国の人口学者は、中国は2020年に人口増加を報告したものの、一般的な減少傾向は避けられず、早ければ2022年には中国の人口が減少に転じる可能性が高いと述べている。
(後略)
中国の人口学者は、中国は2020年に人口増加を報告したものの、一般的な減少傾向は避けられず、早ければ2022年には中国の人口が減少に転じる可能性が高いと述べている。
(後略)
「2022年には」と予防線を張っていますが、海外の人口学者は2020年にすでに人口は減少に転じたはずと見ているのです。要は中国の統計を正しいと見るかどうかです。
今回の第7回国勢調査の見どころは、やはり急速に老齢化が進行している点です。
2010年 | 2020年 | |
60歳以上の人口 | 1億7,760万人 | 2億6,400万人 |
65歳以上の人口 | 1億1,880万人 | 1億9,000万人 |
人口が頭打ちで老齢人口が大きく増加しました。つまり労働人口が確実に減っています。
同記事では、中国共産党は早ければ2021年秋に開催される「第19期中央委員会第6回全体会議」で出生制限を定めた家族計画政策を撤廃するだろう――と予測しています。
問題は今さらそれを行っても人口減少傾向をとどめることができるかどうかです。なにせ、中国では男性余り状況の上、アンケート調査では「結婚しなくてもいい」と考える女性が増加しているのです。
(吉田ハンチング@dcp)