すでに読者の皆さまもご存じのことでしょうが、アメリカ合衆国で今回パンデミックを引き起こした新型コロナウイルスの「起源」について、劇的な転向がありました。
前トランプ大統領も「コロナウイルスの起源は中国であり、中国・武漢にある研究所で作られ、漏れたものではないのか」と疑念を呈していましたが、これをメインストリームといわれるメディアは虚言と断定。「陰謀論」で片付けました。
しかし、ここにきてメインストリームメディアはその姿勢を180度換え、武漢の研究所から漏れたという説に信憑性が出てきたという報道に転じたのです。あの『Facebook』も、新型コロナウイルスが人工のものであるとする主張を削除しない、と声明を発表。
また、前トランプ政権下で始まったコロナウイルスの起源についての調査をバイデン政権が中止させたことが報じられました。これに慌てたバイデン政権は、2021年05月26日、情報機関に対して再度調査を行い90日以内に結果を出すように指示しました。
中国御用新聞が激しく反発の記事を出す!
中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』が今回のバイデン政権の動きについて強く非難する記事を出しています。
The US recorded the most COVID-19 cases and deaths in the world, exceeding 33 million and 600,000, respectively. They do not reflect on themselves, but try to scapegoat China instead.
合衆国は、COVID-19の感染者数が3,300万人、死亡者数が60万人を超え、世界で最も多くの感染者数と死亡者数を記録した。彼らは自らを省みることなく、中国をスケープゴートにしようとしている。
“I want to ask them, what are you really up to? Where is your conscience?” Chinese Foreign Ministry Spokesperson Zhao Lijian asked at a routine press conference on Thursday.
「私は彼らに『あなた方は本当は何をしようとしているのか、良心はどこにあるのか』と問いかけたい。あなたの良心はどこにあるのか」と、中国外交部の趙立堅報道官は1日、定例記者会見でこう問いかけた。
(後略)
趙立堅報道官というのは、ニュースなどでよく見かける、毎度おなじみのめがねをかけたあの人です。ちなみに趙報道官は、昨年なんの根拠もないのに「コロナウイルスは米軍が持ち込んだかもしれない」などとtweetして物議を醸したことがあります。
このような人物が言及する良心とはどのようなものでしょうか。それはともかく、同記事では以下のような言及もあります。
(前略)
“Tracing the virus origins is just another weapon for the US to wage vicious attacks against China, in addition to affairs related to Xinjiang and Hong Kong,” Lü said.「ウイルスの起源を追跡することは、新疆や香港に関する問題に加えて、合衆国が中国に対して悪質な攻撃を仕掛けるためのもう一つの武器に過ぎない」とLü Xiang氏(中国社会科学院の研究員:筆者注)は語った。
(後略)
あくまで専門家の意見はこうだとしていますが、これは御用新聞のいつもの手法で、陣笠の口を借りて中国共産党の意見を述べているに過ぎません。もう一つの武器もナニも、新型コロナウイルスが本当に武漢の研究所で作られ、漏れたものであるなら、追究することには大きな意味があります。
ただ、面白いのはバイデン大統領、また民主党ではなく、再調査の動きは共和党の圧力によって行われているとしている点です。以下に記事の一部を引用してみます。
(前略)
“I’m sure that this is the correct thing for Biden to state publicly, considering the continued attacks from the Republicans…Biden clearly would like this to go away, but has to address it because the Republicans are aggressive and he only has s small majority,” a foreign expert close to the WHO-led investigation team told Global Times under condition of anonymity on Thursday.バイデン氏は明らかにこの問題を解決したいと思っているが、共和党が攻撃的であり、彼の味方は少数派であるため、この問題に取り組まなければならない」と、WHO主導の調査チームに近い外国人専門家が木曜日、匿名を条件に『Global Times』に語った。
(後略)
このように、合衆国の現政権には一応気を使った記事になっているのです。その代わりなのでしょうか、矛先は前トランプ政権を支えた人物を悪らつに書いています。
Former US secretary of state Mike Pompeo, once an intelligence chief, managed foreign affairs with a shady mindset revolving around lying, cheating and threats.
マイク・ポンペオ元米国務長官は、かつて情報機関の長官だったが、嘘、ごまかし、脅しを軸にした陰険な考え方で外交問題を管理していた。
ポンペオ前国務長官を悪しざまに言っても合衆国の追究の動きは止まないでしょうに。合衆国の現政権、およびそのトップを直撃して合衆国の激烈な反応を引き出したくない中国の心理が透けて見えます。
⇒参照・引用元:『Global Times』「‘Ridiculous’ for Biden to customize a 90-day ‘scientific’ probe on virus origins」
(吉田ハンチング@dcp)