韓国で「LNG(液化天然ガス)」の需給がひっ迫するという話が出ています。現在、韓国は発電用の燃料として総計約900万トンのLNGを契約しています。
オマーン:406万トン
小計:898万トン
※韓国のLNG需要の25%に当たります
この契約によって韓国は安定してLNGの供給を受けてきたのですが、3年後の2024年に満了となります。
世界的に脱炭素の流れの中、石炭火力発電所をLNG火力発電所に転換しようとしており、これは韓国でも同じです。つまり、これまで安かったLNGの価格も需要の急増によって上がることが予想されます。
韓国も次の契約を結ばないと、時価で買うことになりかねません。そこで、『ガス公社』が慌ててLNG確保に乗り出しているのです。本件を報じた韓国メディア『毎日経済』によれば以下のような具合です。
(前略)
「お尻に火」がついた政府は慌てて物量確保に乗り出した。『韓国ガス公社』は12日、『カタール石油公社』と2025年から2044年まで年間200万トンのLNG供給を主な内容とする長期の導入契約を締結したと発表した。
既存の供給量の半分以下に減った量である。
(後略)
供給量は現在の契約の半分になってしまいました。ただ先に、アメリカ合衆国と「15年間、毎年158万トンの供給を受ける」という契約を締結はしています。
しかし「200万トン + 158万トン = 358万トン」ですから、現在の「898万トン」と比べて、まだ「540万トン」も足りません。
これを早期に解決しないと、電力不足、あるいは電気代を上げないといけないといった事態に陥るかもしれません。
韓国のエネルギー政策は支離滅裂
なんといいますか、韓国のエネルギー政策は支離滅裂な感じが否めません。脱原発、クリーンエネルギー政策などと旗を振っている割には、原発の輸出を推進していますし、原発に換わる電力供給をどのように行うのかきちんと計算をしているかというとそれも怪しいのです。
全国に雨後のタケノコのように増えた太陽光発電施設の1/3が送電網に接続されていなかったり、変電施設、送電網の整備を怠っていたりなど挙げればきりがありません。
今回のLNGの契約が切れる話も同じ文脈で語ることができます。石炭火力発電所をLNG火力発電所に転換しようとしているわけですから、当然「燃料はどうすんだよ」と思い至るのが普通です。
いろんなことを言い過ぎて収拾がつかなくなっているというのが本当のところではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)