韓国メディアに「アメリカ合衆国との通貨スワップが必要だ」という記事がやたら出るようになっています。
ドルウォンのレートがウォン安方向に急騰して下がらないからです。
韓国メディアと韓国の識者の皆さんには、「米韓通貨スワップさえあれば、ウォン安が止まる」という、なにか信仰にも似た思いがあるようです。
いちいち記事を取り上げているとキリがないのですが、韓国メディア『中央日報』が2022年07月07日に出した「為替レート1,300ウォン台上がる…通貨スワップが容易ではない理由」というタイトルの記事は、最後の部分が面白いのでご紹介します。
(前略)
特に来る19日、ジャネット・イエレン米国財務長官が韓国を訪問する際には通貨スワップ締結を議論する必要があるという意見が出ている。(中略)
こうした通貨スワップの肯定的な効果にも今回関連議論がなされているが、実際に実現される可能性は大きくないというのが政府内外の雰囲気だ。
ドル高がウォンだけでなく他の通貨でも全般的に現れる現象だからだ。
匿名を要求した政府関係者は「韓国の外国為替保有額※が最近減少したが、少ない水準ではない」とし「米国が韓国と通貨スワップを締結する場合、韓国の外国為替市場に特に問題があるのではないかという対外的認識が生じる余地もある」と伝えた。
また「韓国が望んでいても、米国が自国の通貨政策枠組みの中で運営する事案であるため、韓国の事情を考慮して締結することは容易ではない」とした。
(後略)※先にご紹介したことがありますが、『韓国銀行』はデータ公表において外貨準備という言葉を使わなくなっています。英語では「Korea’s Official Foreign Reserves」で変わりません。
⇒参照・引用元:『中央日報』「」
「イエレンさんが訪韓したら通貨スワップを要求しろ」とまた言っています。イエレンさんは、恐らくそんな議論をする気は全くないはずですので(アメリカ合衆国には韓国にドル流動性スワップを提供しなければならない理由がない)、「イエレンさん逃げてー」といったところです。
匿名の政府関係者(本当にいるのでしょうか)が「外貨準備の中から少なくない金額をウォン安阻止で溶かした」と正直に認めている点は注目に値します。
また、面白いのは、「仮に米韓通貨スワップが実現すると、韓国市場に何かあるのではないかと外国に思われるかもしれない」などと述べている点です。
このような心配をするのであれば、それこそ通貨スワップを連呼しない方がいいでしょう。
傑作なことに、「合衆国が自国の事情で決定する金融政策なので、韓国の事情を鑑みて締結はしてくれないだろう」と至極真っ当な意見を最後に述べています。
これこそ、現在『韓国銀行』の総裁となった李昌鏞(イ・チャンヨン)さんが、国会の人事聴聞会で披露したご意見です(以下記事を参照してください)。
韓国の識者、メディアの皆さんは、自国の中央銀行総裁が「無理だってば」と言っていることがなぜ実現できると思うのでしょうか。
とりあえず、合衆国財務省長官のイエレンさんは、インドネシアの後は韓国には寄らず、すぐ帰国した方がいいのではないでしょうか。無理難題を吹っかけられる可能性が大ですので。
(吉田ハンチング@dcp)