中国企業『エバーグランデ』(Evergrande Group:恒大集団)は不動産開発ディベロッパーです。同社は「宇宙一の不動産会社」だそうです(笑)。創業者で会長の徐家陰会長は立志伝中の人物ですが、2020年09月06日夜、幹部との会議を急に開催し、翌日に、
と発表しました。
この割り引き攻勢で09月・10月「1,000億元」ずつの売上を見込んでいます。
「現金が要るんや!」というのが理由
なぜこんな無茶なマーケティングを行っているかというと、中国共産党が不動産会社の無茶な開発に歯止めをかけようとしているからです。
これまで中国の不動産会社は、社債の発行などで莫大な資金を入手して開発を行い、短期間で販売して資金回収を繰り返してきました。
不動産価格が上昇している間はそれでも回るのですが、価格が低迷し(つまり需要が減少して)売れ残ったりすると資金回収ができなくなります。ここで「次の開発だ!」と前へ進むと、売れない物件を抱えたまま借金を重ねることで不動産会社はいつ飛ぶか分からなくなります。
そこで、この「借金に次ぐ借金のサイクル」を止めさせようと、中国共産党は不動産会社を縛る規制を作りました。
それが「3本のレッドライン」と呼ばれるものです。
正味資本が負債の100%以上あること
短期負債は現金性資産の1.0倍まで
この規制は2020年08月20日、中国の中央銀行『中国人民銀行』と「住宅都市農村開発部(MOUHURD)」が催したシンポジウムで策定されたものです。これによって、不動産会社はこれまでのように金融機関からの資金調達が難しくなりました。
そのため無茶な割り引きを行ってでも「現金」を入手しないといけなくなったというわけです。なにせ、「資本」を増強しないと金融機関からお金を引っ張れないのですから。
ですので、「3割引き販売」は無茶を続けるための施策であって、これもどこまで続くか……なのです。
実際、以前からいわれているとおり、中国の不動産市場はどうやって落着させるかという大きな問題になっています。「ハードランディング不可避」という話もあるのですが、この場合、バブル崩壊というわけで中国経済は大混乱となります。
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(吉田ハンチング@dcp)