中国「統計をごまかした者は懲罰だ」

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こういうのを「おまいう」というのではないでしょうか。

2024年01月22日、中国の統計局が傑作なプレスリリースを出しています。「『中国共産党懲戒規定』の処罰対象に『統計不正』が含まれることについて、 国家統計局の関係者が記者の質問に答えた」というタイトルです。

2023年12月に中国共産党中央委員会が「中国共産党懲戒処分条例」の改訂版を発表したのですが、党の業務規律違反の規定に「統計改ざん」を盛り込んだのです。

今回のプレスリリースは、「統計改ざん」について統計局が記者からの質問に答えたという内容です。プレスリリースから面白い部分を引用してみます。

質問:
「統計改ざん」が規定範囲に含まれた背景を紹介してほしい。

回答:
統計は経済社会の発展にとって重要な総合的・基礎的作業であり、統計データは国家マクロコントロールの重要な基礎である。

第18回 中国共産党全国代表大会以来、習近平総書記を核心とする中国共産党中央委員会は統計業務を非常に重視しており、習近平総書記は統計業務について多くの重要な演説や指示を行い、中央政府は「統計管理制度の改革を深化させ、統計データの信憑性を向上させることに関する意見」、「統計違反・無法行為責任者の懲戒処分および統計違反・無法行為への対応に関する提案弁法」、「統計不正・無法行為の防止および処罰における検査官の業務に関する規定」、「統計不正・無法行為の防止および処罰に関する規定 統計監督の機能的役割をより効果的に果たすことに関する意見」などの党則や規範文書は、統計の改ざんを防止・処罰し、統計データの質を向上させるための方向性を指摘し、基本的な指針を示してきた。
↑このブロック長いだけなので読まなくても大丈夫です引用者注

(中略)

しかし、一部の地方指導幹部は依然として政治的パフォーマンスに対する見方が弱く、党や政府の指導幹部が統計業務に不法介入する問題が依然として個々の地域で発生していることにも留意すべきである。

中国共産党中央委員会は『条例』を改正し、第十章「業務規律違反に対する制裁」の第百三十九条で、特に統計不正行為について明確な規定を設け、統計不正行為の防止と管理体制の厳格化と懲戒の制約を大幅に強化し、統計不正行為の防止と処罰のために強力な懲戒保障措置を提供する。
(後略)

⇒参照・引用元:『中国 統計局』公式サイト「国家统计局有关负责人就“统计造假”被纳入《中国共产党纪律处分条例》处分范畴答记者问」

初っ端からいきなりこれです。「党や政府の指導幹部が統計業務に不法介入する問題が依然として発生している」とはっきり述べています。

つまり、現在も統計が改ざんされていると自ら認めています。

次です。

質問:
「統計改ざん」で懲戒処分の対象となるのは誰か?

回答:
『規定』第139条は、統計改ざんに関与した党員および指導的幹部に対する懲戒処分を包括的に規定しており、全部で2項ある。

第1項:
統計改ざんが行われた場合、直接の責任者および指導責任者には、軽微な場合には警告または厳重警告を与え、重大な場合には党職を解任または保護観察に処する。状況が深刻な場合は、党から除籍される。

第2項:
統計改ざんが放置され、重大な結果が生じた場合、直接責任者および指導責任者は警告または厳重警告に処され、状況が深刻な場合には、党職からの追放または党の保護観察が処罰、あるいは党から除名される。

統計不正や懲戒違反の対象には、直接の責任者指導的責任者が含まれる。

直接の責任者とは、職務の範囲内で職務を怠ったり、誤って遂行し、統計不正において決定的な役割を果たした党員または党指導幹部を指す。

指導責任者は、第一次指導責任者と第二次指導責任者に分けられる。

第一次指導責任者とは、
党員および指導幹部のうち、職務範囲内で監督者の職務を怠ったり、職務遂行を怠ったりした者を指す。

第二次的指導責任とは、
職務の範囲内で、自らが担当する仕事や決定に参加する職務を怠ったり、誤って遂行したりした党員の指導的幹部を指す。
(後略)

⇒参照・引用元:『中国 統計局』公式サイト「国家统计局有关负责人就“统计造假”被纳入《中国共产党纪律处分条例》处分范畴答记者问」

統計不正や懲戒違反の対象には、直接の責任者と指導的責任者が含まれる――となっていますので、改ざんを行った者、またその監督者も処罰対象となるとのこと。「党指導幹部」も対象ですから、これは習近平総書記が政敵排除に使ってきた「反腐敗」と同じように使えます。

この党幹部は統計改ざんを行った、「だから排除する」として政敵を粛清するのに使えるのです。その上、この幹部がいい加減な統計データを報告していたので経済運営がうまくいかなかったとして、経済の失敗をその人物に押し付けることも可能です。

地方政府でいい加減なデータを作り(例えばGDPを盛る)、出世した共産党幹部など、それこそ全員ではないでしょうか。

「反腐敗・政敵除去」と同様に習近平総書記の思う様に人に罪を被せ、粛清することができます。

「全員悪」というキャッチコピーがありましたが、中国は「全員統計改ざん」な国なわけで、徹底的にやるなら上から下まで全員党籍剥奪になるでしょう。本来なら習近平さんだって逃れられないはずです。

(吉田ハンチング@dcp)

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