韓国は自動車産業を基幹産業の一つと位置づけています。しかし、韓国の自動車産業は弱体化しつつあります。
自動車産業は、完成自動車メーカーだけでなく、多数の自動車部品メーカーによって成立しています。そのため、自動車産業の弱体化は、産業の裾野も含めて大きな問題です。
韓国国内の自動車生産が「400万台」あれば、自動車産業の生態系は守られ、雇用も維持される、と見積もられているのですが……。
コロナきっかけでこれが打ち砕かれようとしています。
自動車部品会社は減らざるを得ない状況
韓国メディア『毎日経済』が、韓国自動車産業の構造が崩れつつあるという記事を出しています。以下に一部を引用します。
(前略)
コロナ19の余波で韓国自動車産業の生態系が崩壊段階に入ったという診断が出ている。生態系の崩壊はリストラと深刻な資金難の形で示されている。
『毎日経済』が6月末、『現代・起亜自動車』『ルノーサムスン』『双竜自動車』『韓国GM』『マンド』と蔚山・釜山地域の自動車部品メーカー55社を対象に緊急経営環境調査を実施した結果、全体の60%である33カ所が「下半期削減と休職を通じた構造調整が避けられない」と答えた。
(後略)⇒参照・引用元:『毎日経済』「崩れる車の生態系…部品メーカー60%『削減』」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
韓国の自動車産業が非常に危うい状況になっていることが分かります。
↑の記事で、2019年に韓国国内の自動車生産台数が「395万614台」と「400万台を割り込んだ」ことをご紹介しました。
しかし、新型コロナウイルス騒動もあって2020年には「320万台」まで減ると予測されています。
つまり、その減少分の「自動車部品製作の仕事」がなくなるわけで、自動車部品メーカーも減らざるを得ません。同記事では以下のようにまとめています。
(前略)
今年の韓国の自動車生産規模は合計320万台と予想される。自動車産業の生態系を維持するためのデッドラインと認識されている400万台を守るどころか、2003年の水準である317万台に戻ってしまう。
部品メーカー26万人を含めて自動車産業直接・間接雇用190万3,000人の生計が危うくなるしかない状況だ。
(後略)
韓国の自動車産業は再編を余儀なくされる
韓国の自動車産業は徐々に弱体化していますが、新型コロナウイルス騒動がそれを加速するわけです。
韓国国内の生産拠点では自動車の生産台数がぐっと減ります。また、異常な最低賃金の上昇スピード、暴力沙汰も辞さない労働組合といった問題があるため、韓国に生産拠点を置いておくことに意味はありません。
つまり、
生産台数が減る ⇒ 必要な部品メーカーは減る ⇒ 廃業が増え・雇用が減る
海外に生産拠点を移す ⇒ 必要な部品メーカーは減る⇒ 廃業が増え・雇用が減る
となります。
完成自動車メーカーの海外移転に伴って、部品メーカーが一緒に生産拠点を海外に移転すれば、その会社は生き残りますが、労働者は現地採用するでしょうから、どっちにしても韓国国内の雇用は減ります。
新型コロナウイルス騒動がきっかけではありますが、韓国国内の自動車産業は再編せざるを得なくなると考えられます。裾野の広い自動車産業の再編は韓国の労働市場に大きなインパクトを与えるでしょう。失業者が急増しそうです。
(柏ケミカル@dcp)