トランプ師匠「優遇措置撤廃」を叫ぶ! 中国・韓国への優遇措置はなくなるかも

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現在のアメリカ合衆国政府がWTO(World Trade Organizationの略:世界貿易機関)について不信感を持ち、調停能力を持たないことにいらだっているのは明らか※ですが、ついにトランプ大統領は「途上国についての優遇措置を見直すこと」にtweetで言及しました。


The WTO is BROKEN when the world’s RICHEST countries claim to be developing countries to avoid WTO rules and get special treatment. NO more!!! Today I directed the U.S. Trade Representative to take action so that countries stop CHEATING the system at the expense of the USA!

世界でも最も裕福な国々が発展途上国であると主張し、WTOの規則を免れて特別な扱いを受けている! WTOはぶっ壊れていやがるんだ! もうこれ以上は駄目だ!!! 本日、私はUSTRに行動を起こすように指示した。合衆国を犠牲にする、そういった国々が利用するズルいシステムを止めるんだ!

⇒引用元:Twitter『Donald J. Trump』2019年7月26日-11:29
https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1154821023197474817


途上国優遇を不当に受けていると名指しされた国 中国を筆頭に……

上記のトランプ大統領のtweetに先だって、2019年07月26日ホワイトハウスから発表されたメモランダム(日本語では「覚書」と訳されます)を見ると、冒頭以下のように述べられています。


Nearly two-thirds of WTO Members have been able to avail themselves of special treatment and to take on weaker commitments under the WTO framework by designating themselves as developing countries.

WTOメンバーの3分の2の国々が、WTOの枠組みの下で自らを発展途上国とし、特別な待遇を享受しながら少ししか役割を果たしていません。

While some developing-country designations are proper, many are patently unsupportable in light of current economic circumstances. For example, 7 out of the 10 wealthiest economies in the world as measured by Gross Domestic Product per capita on a purchasing-power parity basis – Brunei, Hong Kong, Kuwait, Macao, Qatar, Singapore, and the United Arab Emirates – currently claim developing -country status.Mexico, South Korea, and Turkey – members of both the G20 and the Organization for Economic Cooperation and Development (OECD) – also claim this status.

もちろん幾つかの国を途上国とするのは妥当ではありますが、現在の経済環境からすると多くの国々が途上国と呼ぶのを支持できません。例えば、一人当たりのGDP(国内総生産)を購買力平価ベースで測ると、裕福な経済状況の10カ国のうち7カ国、ブルネイ香港クエートマカオカタールシンガポールUAEが現在発展途上国とされています。メキシコ韓国トルコはG20、OECDの両方に入っているにも関わらず、同様に発展途上国だと主張しています。


また、中国を名指しして以下のような記述があります。


China most dramatically illustrates the point.Since joining the WTO in 2001, China has continued to insist that it is a developing country and thus has the right to avail itself of flexibilities under any new WTO rules.The United States has never accepted China’s claim to developing-country status,and virtually every current economic indicator belies China’s claim.

中国は最も劇的にその点を示しています。2001年にWTOに加盟して以来、中国は発展途上国であると主張し続け、そのため新しいWTO規則の下、融通むげにルールを利用する権利を有してきました。米国は、発展途上国だとする中国の主張を受け入れたことは一度もありません。現在の経済指標は中国の主張と矛盾しています。

この後メモランダムは、中国がすでにGDPで世界第2の国であること、その裕福さについて経済指標を示した後、このような発展途上国を装う(と合衆国が考える)国々を厳しく指弾しています。

Notwithstanding these facts and other evidence of economic vibrancy,China and too many other countries have continued to style themselves as developing countries, allowing them to enjoy the benefits that come with that status and seek weaker commitments than those made by other WTO Members.These countries claim entitlement to longer timeframes for the imposition of safeguards, generous transition periods,softer tariff cuts,procedural advantages for WTO disputes,and the ability to avail themselves of certain export subsidies – all at the expense of other WTO Members.These countries have also consistently sought weaker commitments than other WTO Members in ongoing negotiations, which has significantly stymied progress.

これらの事実や経済的活況を示す証拠があるにも関わらず、中国やあまりにも多くの国々が自らを発展途上国のように地位を続け、その地位から得られる利益を享受し、他のWTOメンバーの国々よりも低い役割しか果たしてはいません。これらの国々は、より長い保障措置の猶予期間、より低い関税率、紛争手続きの優位性、長い間特定の補助金を利用する権利を主張します。他のWTOメンバーを犠牲にしているのです。また、これらの国々は他のWTO加盟国よりも低い役割分担しか果たさないよう一貫して行動しており、これが著しく進歩を妨げています。

⇒参照・引用元:『WhiteHouse』「Memorandum on Reforming Developing-Country Status in the World Trade Organization」
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/memorandum-reforming-developing-country-status-world-trade-organization/

※日本語訳の強調文字は筆者による


中国・韓国への優遇措置がなくなる!?

というわけで、Money1ではかねてよりお伝えしてきましたが、いよいよトランプ大統領はWTO改革に切り込むようです。

このメモランダムで名指しされた国は、「発展途上国だなんていわせないぞ」と優遇措置を放棄させられることになるかもしれません。

トランプ大統領は、UTSR(United States Trade Representativeの略:合衆国通商代表部)のライトハイザー代表に対して、「90日以内に何らかの進展が得られる」ように動けと下命。これに応えてUTSRでは、ライトハイザー代表の次のような声明を発表しました。


(前略)I applaud the President’s leadership in demanding fairness and accountability at the WTO, and I look forward to implementing the President’s directive.

私は、WTOで公平性と説明責任を要求するという大統領のリーダーシップを称賛し、大統領の指令を実行することを楽しみにしています。

⇒引用元:『OFFICE of the UNITED STATES TRADE REPRESENTATIVE』「USTR Robert Lighthizer Statement on the President’s Memorandum on Reforming Developing-Country Status in the WTO」
https://ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/press-releases/2019/july/ustr-robert-lighthizer-statement


日本の「韓国への優遇措置の撤廃」について、トランプ大統領が静観しているのは自らの「WTO改革の方向性」と合致しているからかもしれません。もし安倍首相がトランプ大統領に相談していたとすると、トランプ大統領から「そうなんだシンゾー! オレもかねてからそう思ってたんだ! 優遇措置は撤廃すべきだ」なんて賛成されたかも……。

(柏ケミカル@dcp)

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