以前Money1でもご紹介したことがある「懸念」があらためて注視される状況です。
燃料の安定供給です。
韓国は世界Topクラスの石油依存国です。石油だけではありません。LNG(液化天然ガス)、石炭も同じです。海外からこれら燃料が安定して入ってこないと韓国経済は傾きます。前の文在寅政権時に、これから先、LNGを安定的に供給を受けられるのか?という懸念があったのですが、文政権は手当てを怠りました。
2025年にLNG供給が足りなくなる可能性があるのです。
以前紹介したのと状況は同じです。
2024年には、1999年から毎年492万トンずつ供給を受けてきたカタール産のLNGの契約、毎年406万トンずつ供給されてきたオマーン産のLNGの契約が終了します。
カタール産LNG:492万トン
オマーン産LNG:406万トン
小計:898万トン
来る2025年から供給が受けられるLNGの量は以下のものだけです。
カタール産LNG:200万トン
『BP』が供給するLNG:158万トン
小計:358万トン
※カタールとは2021年07月に契約、『BP』とは2022年04月に契約。イギリス石油大手の『BP』は世界中に拠点を持ちますが、韓国向けのLNG供給はオーストラリアから行われる予定です。
2025年からは「358万トン」ですので、2024年までの「898万トン」と比較して540万トンも少なくなるのです。
では、韓国のLNG消費量はどのくらいかというと、ざっくり4,500万トンです。
韓国のLNGの需要量の推移は以下のようになります。
1987年にはわずか「167万トン」しかなかったのですが、直近2022年には「4,540万トン」も消費しているのです。
仮に2025年もこの水準だとすると、手当てがついているのは需要の「7.9%」ということになります。92.1%はその時々でなんとかしないといけないのです。
前記のとおり、お寒い状況は前文在寅政権時代から指摘されていました。しかし、文在寅政権はスルーしたのです。
なぜでしょうか?
『朝鮮日報』が興味深い証言を取っています。以下に引用してみます。
(前略)
エネルギー業界関係者は「一度に15年以上、金額で数十兆ウォンが行き来する契約締結を躊躇して適切なタイミングを逃した」とした。また、『ガス公社』がLNG導入担当人材を新再生部門などに移したため、コロナ事態でLNG価格が急落すると現物中心に輸入することにし、長期契約を避けたことも原因に挙げられる。
ロシア・ウクライナ戦争前後で国際ガス価格が暴騰すると手が付けられない状況になった。
(後略)
契約が長期に渡り、また金額も大きいのでビビったというのが一つ。また、価格が下がったら下がったでスポット価格に一喜一憂し、長期プランに手を付けなかったのです。
非常に短期的な視野で対処してきたことが分かります。このままでは、韓国はLNGの需要に対して供給がショートする可能性があります。
(吉田ハンチング@dcp)