イランが秘かに中国に石油を輸出しており、その量がはんぱなものではないという話です。Money1でも先に少し触れたことがありますが、これはかねてからいわれていたこと。今回は踏み込んでご紹介します。
中国はイランの「幽霊艦隊」から石油を購入している!
中国は石油を輸入に頼っている国です。『JOGMEC』の2021年04月09日のリポートによれば、世界の石油消費の1割は中国で、消費の7割を輸入に依存しています。この輸入量は表に出る、いわば化粧されたもので、裏で購入している量も莫大なものになります。
2021年06月20日、イギリスメディア『The Mail』記事がその実態の一端を報じていますが、この記事の基になったのは『United Against Nuclear Iran』という団体の調査です。
この団体は、アメリカ合衆国の元国連大使、Mark Wallace(マーク・ウォレス)さんが設立し、イランの核開発に反対することを旨とし、イランの政治・資金・軍隊などの動きについて独自に監視を行っています。
↑『United Against Nuclear Iran』のホームページ
同団体によると、イランは巨大タンカーの「幽霊艦隊」(ghost armada:ゴーストアルマダ)を使って、中国に石油を輸送しています。「幽霊艦隊」と呼ぶのはその正体がばれないように隠蔽工作を行っているからです。
「幽霊艦隊」の規模は尋常ではない!
幽霊艦隊が行っている偽装工作は、まず「違う国の旗」を使うことです。船籍を別の小国で登録するなどして、イランのものでないとするのです。「flag hopping」(フラップホッピング)と呼ばれる「船の登録を国家間で切り替える」、「spoofing」(スプーフィング)という「GPSを操作して正確な船の位置を知らせない」などの技も使う、とのこと。
『The Mail』には位置を知らせないようにして、南シナ海で中国のタンカーに石油を積み替える写真が掲載されています。
『United Against Nuclear Iran』は、衛星画像を駆使し24時間の監視体制を敷いて、この幽霊艦隊を追いました。結果、
2021年04月までは1日平均70万バレルを輸送
(最大1日100万バレルを輸送)
という報告をしているのです。
『United Against Nuclear Iran』では、この密貿易を阻止すべく、2021年02~05月に200万バレルの石油を輸送できるスーパータンカー20隻を含む艦隊のうち7隻について、各国当局や保険会社に警告した上で、船籍の抹消申請を行い、抹消に成功した――とのこと。
中国からイランに石油の代金として莫大な資金が流入しているはずで、これがイランの核開発を推進してきたのではないか、と『United Against Nuclear Iran』では見ています(核技術が提供されている可能性もあります)。
(吉田ハンチング@dcp)