連邦政府機関の一部閉鎖が長引き、解決のめどが立たないため、下院議長に復帰した民主党のナンシー・ペローシ下院議員(Nancy Patricia D’Alesandro Pelosi)は、業務再開が可能な法律を成立させるべく動いています。当然、トランプ大統領はこれに真っ向から反対しており、共和党首脳部も大統領の支持がないまま行動しないと表明しています。
このような膠着状態ですから、ここにきて「Gephardt Rule」(ゲッパート・ルール)という言葉がメディアに登場するようになっています。
「Gephardt Rule」(ゲッパート・ルール)とは?
これは1979年に議会に課せられた債務上限問題についてのルールです。Richard Andrew Gephardt(リチャード・アンドリュー・ゲッパート)下院議員(下掲写真)にちなんでこの名前があります。このルールは「予算が可決されたら、その時点で(それを実行するために必要な)債務上限が引き上げられたとみなそう」というものです。
合衆国の場合、歳出について可決されても(つまりは予算について承認されても)、実際に「資金をつける」段になって「債務上限の問題をクリア」するように可決されなければならないのです。この二段階の承認プロセスが政治的な思惑絡みで問題を引き起こします。
例えば、予算に盛り込まれた案件を実行させたくないとすれば、「それを実行するためには債務上限を超える」「債務上限を引き上げるための可決が必要」とし、これを盾に予算に対して資金をつけなければ、その政策を実行できませんね。
普通なら「えっ! あなたは予算に賛成したじゃん!」と思いますが、「予算に賛成した」のと「資金をつけるのに賛成する(債務上限の引き上げに賛成する)」のは別だから、という態度がまかり通るのです。簡単にいえば「Gephardt Rule」(ゲッパート・ルール)とは、このような「予算には賛成したのに資金をつけるときには反対」という、ヘンな態度を回避するためのものなのです。
1995年に「Gephardt Rule」(ゲッパート・ルール)は議会によって廃止されますが、その後、いわゆる「債務上限危機」による連邦政府機関の閉鎖(government shutdown)が起こるようになるのです。今「Gephardt Rule」(ゲッパート・ルール)が注目されている理由は、この不毛な「閉鎖」を早く終わりにしたいという思いからでしょう。
(柏ケミカル@dcp)