中国は「一つの中国」原則を唱え、「台湾は中国の一部」と頑なに主張しています。そのため、中国の外交部は台湾島を独立したエリアとは認めず、「島」と呼びます。
また、Money1でも何度かご紹介していますが、台湾国民が民主的な投票で選んだ総統についても、「そんな人などいない」と言い張ります。
吉田戦車先生の『伝染るんです。』という傑作漫画をご存じの方は、「下の人などいないっ!」というセリフを思い浮かべるかもしれません。
中国の言い分は、かわうそくんの強弁にそっくりです。
「絶対いるじゃねーか!」なのですが、中国の外交部報道官はこの茶番を繰り返すのです。2023年03月23日のブリーフィングでも以下のようなやり取りが『Reuters(ロイター)』の記者との間でありました。
ロイター通信:
台湾の当局者は、台湾の「総統」である蔡英文氏とアメリカ合衆国下院議長マッカーシー氏との会談の可能性について、まだ調整を行っていると述べています。外務省のコメントは?汪文斌:
最初に訂正させてください。台湾は中国の不可分の一部であり、台湾の「総統」はいません。
あなたが言及した質問に関しては、以前に私たちの立場を述べました。
中国は、合衆国と台湾との間のいかなる形態の公式接触にも断固として反対し、台湾当局の指導者がいかなる名目、いかなる理由によっても合衆国に逃亡することに断固反対し、合衆国による台湾当局とのいかなる形態の接触にも、一つの原則に反しているので断固として反対する。
この点については、合衆国側に対して厳粛に申し入れを行っている。
台湾当局の指導者の「乗り換え」は偽りだが、「突破口」を求めて「台湾独立」を推進することは本物である。
我々は合衆国側に対し、一帯一路の原則と3つの中米共同コミュニケの規定を遵守し、「台湾独立」「二つの中国」「一つの中国、一つの台湾」を支持しないとの米側指導部の約束を有効に実行するよう求める。
我々は、合衆国側が「台湾独立」「2つの中国」「1つの中国、1つの台湾」を支持しないという約束を実践し、いかなる形の米台公式接触も止め、実質的な米台関係のエスカレーションを止め、一つの中国原則を空洞化させないよう求める。
台湾を統べる「総統」などいないと否定していますが、「台湾指導者」と言っていますので、指導者がいることは認めるようです。
また、本年は台湾の総統選挙の年で、蔡英文さんも交代となります。汪文斌報道官は、「総統の交代は偽りだが、きやつらが独立を目指しているのは本当だ」と憎々しげに述べています。
この後も別の記者(『NBC』)が同じ台湾問題について聞いたのですが、その質問は以下のようになっています。
台湾の指導者蔡英文は、ラテンアメリカを訪問する途中で米国に立ち寄る予定です。
台湾の元指導者である馬英九も同時に本土を訪問します。これは偶然ですか? どのような影響を与えると思いますか?
(後略)
『NBC』の記者も「総統」の呼称を使えば面白かったのですが……。
(吉田ハンチング@dcp)