2023年04月28日に『韓国経済研究院』が「対中貿易構造の変化と示唆点」という興味深いリポートを出しています。
これまで「大もうけ」してきた対中国貿易で急激にもうからなくなってきたので、「これは危ない」と危機感を露わしたリポートです。
もうからないどころか、もはや韓国の対中国貿易が赤字に転じているのはMoney1でもご紹介しているとおりです。まず、韓国がどのくらいもうけてきたのかを見てください。
以下は、対中国貿易での収支(貿易収支:輸出 – 輸入)の推移です。
⇒参照・引用元:『韓国経済研究院』公式サイト「対中貿易構造の変化と示唆点」
上掲のとおり、韓国が中国と国交を開いてから最大にもうけたのは2013年で、貿易収支は「628億ドル」です。
韓国の2013年の貿易収支は、国際収支統計によると――
↑黄色でフォーカスしたのが2013年の貿易収支で「802億5,900万ドル」⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
――「802.6億ドル」です。つまり、1年の貿易黒字のうち約78%は対中国貿易でかせいだことになるのです※。
※「通関ベースの貿易収支」と「国際収支統計の貿易収支」を比較するという乱暴な計算になっていることをお詫びします。78%はあくまでも「いかに韓国が対中国貿易のもうけに依存しているのか」という目安としてご覧ください。
ところが、この対中国貿易のもうけ(貿易収支)が2022年にはわずか「12億ドル」まで減少しました。
2023年第1四半期には、Money1でもご紹介したとおり「-79億ドル」と赤転しました。
これで国が傾かない方がおかしいです。だからこそ『韓国経済研究院』はこのようなリポートを出し、また尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は「とにかく輸出を増やせ」などと号令をかけているのです。
この赤字化の理由は、中国からの輸入が激増したためです。以下をご覧ください。
⇒参照・引用元:『韓国経済研究院』公式サイト「対中貿易構造の変化と示唆点」
上掲のとおり、輸入を示す灰色のバーが急激に伸び、2022年には「1,546億ドル」に達し、貿易収支(輸出 – 輸入)は、わずか「12億ドル」まで縮小したのです。
で、とうとう2023年第1四半期は、
輸出:295億ドル
輸入:374億ドル
貿易収支:-79億ドル
となっているのが現状です。
問題は「コレをどうするよ?」ですが、結論からいえば「どうもなりません」。
別に筆者が勝手に言っているのではありません。この『韓国経済研究院』のリポートにも、対応策として以下のように書かれています。
示唆点
最近の韓国の対中貿易収支の悪化は、コロナ19、グローバル景気などの影響が大きいと判断されるが、中国の貿易競争力の上昇に伴って現れた現象でもあり、適切な対応が急務である。第一に、対中国貿易構造全般に対する再検討を通じて、韓国の対中国輸出戦略を改善する必要がある。
第二に、革新能力の向上、優秀な人的資本の拡充、安定的な供給チェーンの確保などを通じて、本来の産業競争力を改善し、これを貿易競争力につなげることが重要である。
第三に、既存の特定産業中心の対中競争優位の構図を転換し、安定的な比較優位性を確保していかなければならない。
第四に、中国の産業政策の変化に対するモニタリングを強化し、国内政策に適切にフィードバックする必要がある。
第五に、中長期的には市場の多様化を通じて安定的な貿易基盤を強化していく必要がある。
⇒参照・引用元:『韓国経済研究院』公式サイト「対中貿易構造の変化と示唆点」
示唆点として提起されているのは、これだけです。
「韓国の対中国輸出戦略を改善する」といっておきながら、具体的にどうするんだ?については、「革新能力の向上、優秀な人的資本の拡充、安定的な供給チェーンの確保などを通じて、本来の産業競争力を改善し、これを貿易競争力につなげる」などと書いています。
それができるなら、こんなことにはなっていません。
また「今から?」という話です。
何も言っていないのと同じです。韓国の有名なシンクタンクが「この体たらく」な提言です。つまり、韓国にはこの隘路を突破するための方策は何もないのです。
ですから、結論はどうしてもこうなります。
二進も三進もいかなくなった韓国は、どこかから「中国にも売れる製品を作るための技術」を入手しなければ、国が傾きます(もう傾いていますが)。
そのため、日本は「韓国からの技術移転要求」にさらされることになります。韓国が日本にすりよって来ることは必然で、技術剽窃・泥棒を十分に警戒しなければならないのです。
(吉田ハンチング@dcp)