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韓国「対ドルのウォン安」と「対円のウォン高」が同時進行する異常事態。

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2024年06月26日、ウォンが日本円に対して高値を更新しました。27日もさらに高値をつけており、どうなるよ――という勢いです。以下は円ウォンチャートです(チャートは『Investing.com』より引用:以下同)。

上掲のとおり、ウォンが対円でずんずん高値進行していることが分かります。2024年06月28日20:06現在、「1円=8.5848ウォン」で、2023年の11月水準の(対円での)ウォン高です。

面白い現象が現れているのです。ドルウォンのチャートと円ウォンのチャートを重ねてみると以下のようになります。


↑円ウォンがローソク足、ドルウォンがバーチャートです/月足。

「対ドル」と「対円」のウォンの上下動はシンクロします。韓国メディアが嘆く「全方位でウォン安」「主要通貨に対して最も下落した」みたいな事態はこのためです。

対ドルでウォン安が進行するなら、対円でもウォン安が進行して普通です。上掲のとおり、これまでは対ドル・対円のチャートは同方向に動いていました。

ところが、上下の方向性にディバーエンス(乖離)が発生しています。異常事態といえます。

対ドルのウォン安が進行しているのに、同時に対円でのウォン高が進行しているのです。なぜこんなことになるかというと、日本円が対ドルで非常にはやい速度で安くなっているからです。その速度がウォンが安くなるより速いのでこうなります。

韓国にとっては困った話です。ウォン安の進行は困りますし、対円のウォン高も困るのです。

韓国は「対円でのウォン高は困る」

なぜ対円のウォン高が困るかというと、以下のような理由が考えられます。

1.輸出競争力が低下する
韓国経済は輸出に大きく依存しています。ウォン高が進行すると、韓国製品の価格が相対的に高くなり、日本企業と競争する際に価格面で不利になる可能性が高まります。

2.企業の収益が悪化する
多くの韓国企業が日本向けに製品やサービスを輸出しています。ウォン高になると、日本円で得られる収益がウォンに換算した際に減少し、企業の収益に悪影響を与えます。

3.観光産業への影響が大きい
ウォン高は日本からの観光客にとって韓国旅行が高額になり、観光客数が減少する可能性があります。これにより、観光関連産業に悪影響を及ぼします。
etc.

異常事態は金融政策を複雑にする

このヘンな状況は、韓国の金融当局の対応を難しくします。なぜなら、金融政策が複雑になるからです。

1.二重の為替リスク管理をする必要がある
韓国の金融当局は、対ドルと対円の両方の為替リスクを管理する必要があります。それぞれの為替相場が異なる動きを見せると、単一の政策では対応しきれない複雑な状況が生じます。

2. 多面の経済影響に対処しなければならない
対ドルでのウォン安は輸出促進に寄与する一方で、インフレーションリスクを高めます。対円でのウォン高は輸入コストを下げる一方で、輸出競争力を削ぐ可能性があります。これらの相反する影響を考慮に入れた政策策定が求められます。

3.異なる経済パートナーとのバランス調整を行う必要がある
アメリカと日本は韓国にとって重要な貿易相手国です。アメリカ市場と日本市場の両方での競争力を維持しつつ、それぞれの市場の動向を注視しなければなりません。これにはきめ細かなバランス調整が必要です。

先にご紹介したとおり、過去の例からいって「対円でのウォン高」はロクなことにはなりません。韓国にとっては二重苦が進行しているようなものです。

(柏ケミカル@dcp)

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