『年金積立金管理運用独立行政法人』(Government Pension Investment Fund/略称:GPIF)という厚生労働省所管の独立行政法人をご存じでしょうか? この法人は、公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っています。
皆さんもご存じのとおり、日本ではそもそも年金は世代間で扶養を助ける制度となっています。しかし、超少子高齢化を迎えている日本では現役生産世代が納付する金額では足らないのが現実です。ですから、積立金を取り崩していくだけでは駄目で、この積立金を運用して何とか増やさないといけません。これを担当しているのがGPIFなのです。
GPIFは2006年(平成18年)4月1日に、それまであった年金資金運用基金(2001年4月1日に年金福祉事業団から改組)から年金積立金の管理・運用業務を引き継ぎました。現役世代の負担を軽くするため、年金積立金の運用によって「少しでも多く利益を得ること」がGPIFのミッションです。
このGPIFは2014年(平成26年)10月に重要な決定をしています。すなわちポートフォリオの修正です。
・ほとんど利益を生まない国内債券を60%から35%に引き下げ
・より高いリターんが狙える国内外の株式を24%から50%に引き上げ
たのです。これまでの運用の収益額(運用手数料控除前)の推移を見ますと下のようになります。
●収益額(運用手数料控除前)の推移
2001年度:▲5,874億円
2002年度:▲2兆4,530億円
2003年度:4兆8,916億円
2004年度:2兆6,127億円
2005年度:8兆9,619億円
2006年度:3兆9,445億円
2007年度:▲5兆5,178億円
2008年度:▲9兆3,481億円
2009年度:9兆1,850億円
2010年度:▲2,999億円
2011年度:2兆6,092億円
2012年度:11兆2,222億円
2013年度:10兆2,207億円
2014年度:15兆2,922億円
2015年度:▲5兆3,098億円
2016年度:7兆9,363億円
2001-2016年度(16年間累積):53兆3,603億円
というわけで、この16年間で計「53兆3,603億円」の儲けを出しているのです(ただし手数料等を引く前です)。
GPIFが運用失敗して「○○兆円すりました」なんて話になると、各種マスコミが鬼の首でも取ったかのように報道しますが、儲けが出た場合にはあまり大々的に取り上げられません。もちろん運用を失敗すると積立金が目減りするわけですから、叱責する意味もあって報道しているのでしょうが、うまくいったのも大きく取り上げてあげたらいいのに……と筆者などは思うわけです(笑)。
(高橋モータース@dcp)