先の記事で「何がCPI(Consumer Price Indexの略で、消費者物価指数のこと)に最も影響を与えるか」を取り上げましたが、その後放ったらからしにしておりましたので、続きです。竹中先生の挙げた4つの要因「GDPギャップ」「輸入物価指数」「名目賃金の増減」「マネタリーベースの対GDP比率の変化」。これらのうち、どれに相関関係があるのか、という話です。
■「名目賃金の増減」に相関は得られなかった!
2000年以降のCPIの変化を対象にして、この4つの変数を重回帰分析にかけますと、「名目賃金の増減」については有意な相関が得られなかったのです。竹中先生によれば、名目賃金の増減を外した3変数については「0.64」となったというのです。
先の記事で紹介しましたが、賃金の上昇と物価上昇率の関係性はすでに失われており、政府が行っている「労働者の賃金を上げること」への働きかけは、インフレターゲットの達成に寄与するものではない、というわけです。
ちなみに、竹中先生の同分析によりますと、
●GDPギャップの1%ポイントの上昇はCPIを0.27%ポイント引き上げる。
●輸入物価指数の1%ポイントの上昇はCPIを0.024%ポイント引き上げる。
●マネタリーベースのGDP比1%の増加(実額で約5.3兆円)はCPIを0.048%ポイント引き上げる。
となっています。検証が必要なことはいうまでもありませんが、労働賃金を上げてくれ! といくら政府が経済団体などに働きかけたとしても、現在の労使関係で果たしてそれが実現できるでしょうか?
⇒『ロイター』「日本経済、低インフレから脱却なるか」
http://jp.reuters.com/article/column-masaharu-takenaka-idJPKBN18Q049?pageNumber=1
(吉田ハンチング@dcp)