アメリカ合衆国の景気が良くなってきたとして、テーパリングから金利上昇(利上げ)局面に向かい、2019年中も利上げを目指していたFRB(Federal Reserve Systemの略:連邦準備制度理事会)ですが、昨年起きたフラッシュクラッシュ、逆イールドカーブの発生などによる「リッセッション警戒」の世論が後押しし、非常にハト派的な発言が目立つようになっています。
これまでは、トランプ大統領がいくら文句を言っても「ドル高を誘引する利上げ」を敢行してきたのに、ここにきてその勇ましさはかなり減退したように見えます。もちろん合衆国のことなので、本当に必要という局面が訪れれば一切ためらわずに決行するでしょうが、少なくも現在は利上げを断交できるような状況ではありません。
むしろ、FRBが利下げを行う可能性が考えられます。
03月25日、香港で講演を行った前FRB議長のジャネット・イエレン(
Janet Louise Yellen )さんは「合衆国債券についての逆イールドカーブは、景気後退を示しているのではなく、どこかで利下げを行えというサインの可能性がある」と述べています。
さすがにイレレンさんは優秀な経済学者なだけのことはあります。逆イールドカーブの発生は確かにリセッションのサインと見られますが、すぐリセッションが起こるわけではありません。識者によれば、1950年以降の歴史を見ると「6カ月から15カ月のうちに起こる」とのこと。金融業界はなぜか「○○危機」とすぐに言いたがるようなところがあります。あまりに狼狽するのはいけませんね。打てる手は打つべきしょう。
(柏ケミカル@dcp)