「貧乏は嫌。気持ちも荒んでくるから」は真実です。
中国の地方政府にはお金がありません。公務員の数を削減し、給料をカット(支払った賞与を返却させる行為まで行っています)。体制を維持するための公安の給料まで削減しているほどです。
とにかくお金がないので、中央政府もどうしようもありません。
「地方政府は窮屈な生活に慣れろ」というバカな指示
07月17日、『人民網』は「予算を節約、遊休資源を活性化しよう」という記事を出しています。「節約して耐えろ」とい内容で、簡単にいえば「欲しがりません勝つまでは」です。
あと、「地方政府はこんなに頑張っているんだ」というアピールでもあります。なにせ中国の皆さんが、失業、貧乏、借金に苦しんでいますので、「お前だけじゃない」といいたいわけです。
記事から面白い箇所を以下に一部引用してみます。
政府は「窮屈な生活」を実践
中央経済工作会議は「財政の持続可能性の強化」と「党と政府機関は厳しい生活に慣れる必要がある」と提案した。
財政省は今年03月、予算制約強化の観点から、党・政府機関の厳しい予算要求を履行するよう中央省庁・地方政府に明確な要求を提示し、各地域・部門に要請する通知を出した。
(中略)
最近、江蘇省蘇州市は10項目の措置を発表し、支出削減や遊休資源の活用などの面から取り組み、党政機関が質素な生活に慣れることを促進し、社会の関心を引きました。
支出削減の面では、蘇州市は党政機関が原則として新たにオフィス用の建物や業務用の建物を借りることを禁止しています。
公用車の使用年数が基準に達していない場合、原則として更新しないこと、新エネルギー車(電気自動車)の更新購入比率を原則として100%にすることを求めています。
高鉄(高速鉄道)沿線の公務出張では、原則として公用車やレンタカーの利用をしないようにしています。
また、機関の食堂で公務接待を行う場合、原則として同じ食事メニューを提供することを求めています。
遊休資源の活用の面では、蘇州市は低効率の資産を集中的に管理・統合して使用することを推進し、遊休土地や不動産などは交換、賃貸、オークションなどの方法で活用を深めることを求めています。
修繕や改造プロジェクトで取り除かれた設備や装飾材料などを再利用することを強化します。
関連措置では、会議室や公共サービス施設を全面的に共有・共用すること、条件が整った党政機関の駐車場、屋外トイレ、活動場所などを積極的に社会に開放し、可能な限り開放することを求めています。
記者は、今年に入ってから、31の省と多くの都市が党政機関の「質素な生活」に関する規定を発表していることに注目した。
南開大学周恩来政府管理学院の副教授、賈義猛氏によると、各地の党政機関の「質素な生活」の重点は異なり、その中には予算削減や三公(公務接待、公用車、公務出張)支出の重点的な削減などが含まれています。
「質素な生活」を実現するために、各地では一連の節約措置を具体的に制定しています。
多くの地域では「公物倉」を設立し、オフィス機器、家具、車両などを集中管理し、新たな資産の需要を「公物倉」から優先的に調整して解決し、「調整できるものはすべて調整し、使用できるものはすべて使用する」「調整できるものは借りず、借りることができるものは購入しない」という方針を実現しています。
北京市機関事務管理局は19項目の具体的な措置を発表し、「公物倉の余剰分を調整し、資源の統合役割を十分に発揮し、倉庫に入る資産の数量と調整される資産の数量を前年比50%以上増加させることを目指す」「公用車の使用効率を注視し、公用車管理プラットフォームのアップグレードを積極的に推進し、全プロセスで調整管理を徹底する」などの措置を提案しました。
(中略)
安徽省はペーパーレスの推進を要求し、会議ではペンを配らず、幹部は会議に助手を連れて行かないことを求めています。
また、オフィスの空調温度は冬季は20℃以上にせず、夏季は26℃以下にしないよう求めています。
さらに、公務の接待管理を強化し、同じ都市での接待を厳禁し、優先的に職場の食堂を接待場所として利用し、接待に同席する人数は3人を超えないようにします。
一部の計画の単一プロジェクトの経費は100万元を超えないようにします。
(後略)
御用新聞の御用記者が書いているわけですが、明らかに「地方政府がこれだけ頑張っていますよ」というアピールです。
しかし、本質的な間違いがあります。
やってることが真逆だってば!
いくら地方政府にお金がないとはいえ、現在は民生・民間部門の経済を立て直すのが優先のはずです。
いささかMMT的な物言いになりますが、民間にお金を回さないといけないときに政府がお金を絞るのは自殺行為以外の何物でもありません。
政府機関がペンを買わず、接待もやめて食事代を使わないとなるとどうなるでしょうか?
民間の文房具屋の収入が減り、食堂の売上が減ります。国民の消費が弱って、ただでさえ民間企業や小売店がバタバタ倒れているというのに、政府までお金を絞ってどうするのでしょう。バタバタ倒れる者がさらに増えるだけです。
やってることが真逆です。
政府がしなければならないのは、自ら借金を背負って支出を増やすことです。
「節約して支出が減ったばんざーい」ではありません。政府が支出をして民間にお金をじゃぶじゃぶ回さないといけないのです。ばかなんじゃないでしょうか。
政府がばかなので、中国経済は戻らないでしょう。屍累々とはまさにこのことです。
(吉田ハンチング@dcp)