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中国PPIは下がりっぱなし。07月も「-0.8%」

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2024年08月09日、中国の統計局が「07月の全国鉱工業生産者物価指数」(PPI)を公表しました。

PPIは「Producer Price Index for Industrial Products」の略。

PPIは、国内の鉱工業者が生産する商品の価格変動を測定する指標で、主に原材料や中間財の価格変動を反映します。言葉の説明はともかく、2024年に入って01月から07月までのPPIの推移(対前年同月比の増減)をご覧ください。以下です。

上掲のとおり、2024年のPPIはここまで全て対前年同期比でマイナスです。

07月は単月で対前年同期比「-0.8%」。01~07月累計では対前年同期比「-2.0%」になるのです。

PPIが下落している場合には、一般に以下のような要因や影響が考えられます。

1.デフレーションの兆候
PPIの低下は、デフレーション(持続的な物価の下落)の兆候となる可能性があります。

生産者が価格を下げる理由が、需要の低下や過剰供給に起因している場合、これが消費者価格にも波及し、全体的な経済活動の縮小を示すことがあるからです。

2.原材料やエネルギー価格の低下
PPIの低下は、原材料(例えば原油、金属、化学製品)やエネルギー価格の下落を反映している場合があります。

これは、生産コストの低下を示し、企業の利益率を改善する可能性があります。ただし、この影響が一時的なものであるか、長期的なトレンドであるかによって、経済への影響は異なります。

3.輸出競争力の改善
PPIの低下は、国内の製品がより安価になることを意味し、これにより輸出競争力が向上する可能性があります。

輸出が増加すれば、貿易収支の改善や関連産業の活性化が期待されます。

4.企業の価格引き下げ競争
需要が弱く、企業が売上を確保するために価格を引き下げる場合もあります。

これがPPIの低下につながることがありますが、長期的には企業の収益性が圧迫される可能性があります。

5.消費者物価への影響
PPIが下がると、消費者物価指数(CPI)にも影響を与える可能性があります。

生産者がコストを低減できれば、最終的に消費者価格も下がる可能性があります。これは消費者にとって一時的なメリットですが、デフレーションが進行する場合は経済全体に悪影響を及ぼすこともあります。

6.金融政策への影響
中央銀行はPPIの低下を考慮して、金利政策やその他の金融政策を見直す可能性があります。

例えば、PPIの低下がデフレーションのリスクを示している場合、金融緩和策が採られることが考えられます。

特に注意したいのは「1」の「デフレの兆候を示してるんじゃないのか?」です。

このようなデータがある一方で、統計局はCPI(消費者物価指数)は上昇しているというデータを出しています。

CPIとPPIでは、以下のような違いがあります。

CPIの推移(2024年01月~07月)
前半:CPIは前年同月比で減少(デフレ傾向
後半:05月以降、インフレ傾向に転じて徐々に増加

PPIの推移(2024年01月~07月)
前半:PPIも前年同月比で減少(デフレ傾向
後半:減少幅は縮小するものの、依然としてマイナス成長

もっとも、CPIとPPIは測っているものが違うので、CPIが上がってもPPIは依然マイナスというのはあり得ます。しかしながら、中国政府がいうとおり「経済は順調に回復」なのかは疑問です。また、低迷がいつまで続くのか? あるいは「この低迷がずっと続くのではあるまいな?」が問題です。

(吉田ハンチング@dcp)

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