韓国メディアだけではなく、法輪功系の歌舞いている中国語メディア『看中国』まで同様の報道を出しています。
韓国で嫌中感情を持つ人が増加している――というのです。ただし、そもそも韓国は中国に対して好感を持つ国ではありません。
以前ご紹介したことがありますが、2023年にアメリカ合衆国の『Pew Research Center(ピュー・リサーチ・センター)』が「中国に対する好感度調査」を公表しています。
以下をご覧ください。
国別「中国に否定的」な人の割合
<<高所得国 16カ国>>
ポーランド:67%(+12%)
カナダ:79%(+5%)
フランス:72%(+4%)
イスラエル:50%(+4%)
スペイン:66%(+3%)
スウェーデン:85%(+2%)
オランダ:77%(+2%)
ドイツ:76%(+2%)
オーストラリア:87%(+1%)
アメリカ合衆国:83%(+1%)
ギリシア:51%(+1%)
日本:87%(±0)
イギリス:69%(±0)
ハンガリー:50%(-2%)
韓国:77%(-3%)
イタリア:58%(-6%)<<中所得国 8カ国>>
インド:67%(+21%)
ブラジル:48%(+21%)
メキシコ:33%(+11%)
アルゼンチン:34%(+10%)
南アフリカ:40%(+5%)
ケニヤ:23%(-2%)
ナイジェリア:15%(-2%)
インドネシア:25%(-11%)※( )内は前回調査からの増減の%ポイント。高所所得国の場合は前回調査は2022年。そのため2022年比での増減%ポイント。中所得国については、コロナ禍の間は対面調査が行えなかったので、前回調査は2019年。そのため2019年比での増減%ポイントを示しています。
⇒データ出典:『Pew Research Center』公式サイト
韓国では77%の人が「中国に対して否定的」となっています。ですから、そもそも韓国の皆さんも中国人に対しては好感を持ってはいない――と考えられるのです。
しかし、ここにきてなぜあらためて「嫌中」が注目されるのでしょうか。
『看中国』の記事から一部を以下に引用してみます。
(前略)
2024年12月、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が緊急戒厳令を発令し、その後、国会で弾劾され職務停止となったことで、韓国の政争は一層激化。尹大統領は、「北朝鮮が選挙に介入したため、戒厳を宣言せざるを得なかった」と説明したが、彼の支持者たちはYouTubeやSNSで「中国も韓国の選挙に介入している」と主張。
弾劾反対集会では「滅共」のスローガンが叫ばれ、韓国国内の反中感情をさらに加速させている。
ソウルの明洞、中区、永登浦区、広津区には、多くの中国人居住者がいるが、こうした反中感情の高まりに不安を募らせている。
(中略)
報道によると、明洞では中国人観光客が目に見えて減少しており、中国語の広告看板も撤去が進んでいる。
また、ある韓国人インフルエンサーは「中国は韓国の内政に干渉するな!」というプラカードを持ち、中国大使館前でダンス動画を撮影した。
ソウルの韓城華僑小学校(中国大使館近く)では、教師たちが生徒に「華僑外国人への攻撃が増えているため注意するように」と指導。
11歳の中国籍の学生・陳氏は、「SNSで『太極旗集会』や『滅共』という言葉が、中国に対する攻撃だと知った」と話し、「親から、外では韓国語を話すように言われた」と語った。
また、同じく11歳の台湾籍の学生・李氏も「両親から『外では絶対に中国語を話すな』と言われた」と明かしている。
ソウル・大林洞で携帯ショップを経営する55歳の鄭氏は、「YouTubeで『中国人が韓国選挙に介入した』という話が出回っており、地元の友人が攻撃されるのではないかと心配している」と語った。
紫陽洞で旅行代理店を営む住民も、「弾劾賛成・反対のデモが激化し、内戦寸前ではないかと不安に思っている」と述べた。
(中略)
07日夜、ソウル・中区にある中国大使館前で「滅共節」と称する反中デモが開催された。
デモ参加者は「CCP(中国共産党)OUT!」「習近平は退陣せよ!」などのスローガンを掲げた。
韓国メディア『聯合ニュース』によると、デモには約50人が参加し、観光地・明洞に近いため、中国人観光客も通りかかったが、多くは戸惑いの表情を浮かべ、足早に立ち去ったという。
このデモを主催したのは、元『国民の力』党の青年部スポークスマン・キム・ジョンシク。彼は「尹大統領が言う『韓国の主権を侵害する勢力』とは、結局中国のことではないのか?」と発言した。
さらに、「韓国の若者は、中国人や華僑が不公平な特権を享受していることに強い不満を持っている」と主張し、特に「中国人が韓国の国家情報院の施設を撮影しても、スパイ法で罰せられない」といった事例を指摘した。
(後略)⇒参照・引用元:『看中国』「中国人做了什么事?韩掀“反中情绪”讲中文成禁忌」
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、非常戒厳を宣布した理由として「不正選挙」を挙げましたが、「中国も韓国の選挙に介入している」――という主張が強くなっています。
中国大使館の前でデモが行われており、またスパイ疑惑についても提起されています。
非常に面白いのは、なぜ「嫌中」感情が盛り上がっているのかについて、以下のような問題を挙げていることです。
中国人の「健康保険タダ乗り」問題
中国SNS「小紅書」では、「韓国の健康保険制度の抜け穴を突いて、医療費を安く済ませる方法」が拡散され、韓国の医療財政に負担をかけているとの批判が強い。中国人による「不動産爆買い」問題
韓国で2023年に不動産を購入した外国人のうち、65%が中国人。特に済州島では、中国人の購入が価格高騰を招き、住民の不満が爆発している。
外国人が「健康保険のただ乗り」「自国の不動産を爆買いしている」――というのは、しばしば日本でも指摘されるところです。
日本では起こることは韓国でも起こり、しかもそれは日本より過剰に進行する――のですが、それを証明するような話なわけです。
(吉田ハンチング@dcp)