「コリア・ディスカウント」は「韓国企業の成長が期待できない」のが原因だ。

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Money1でも何度かご紹介してきましたが「コリア・ディスカウント」という言葉があります。

株式市場などで使われている言葉で、株価が韓国企業というだけで安く評価される――といった意味で、これだけで韓国の皆さんの「他罰主義 = オレは悪くない」が透けて見える言葉です。

韓国政府が「MSCIで先進国に分類されたい」と努力しているのは(さっさと空売り全銘柄停止などやめればいい)、コリア・ディスカウントを解消するため――というのが一つのお題目になっています。

では、MSCIに先進国として市場分類されれば、本当に株価は上がるのか?――です。

ヤン・チョルウォン『檀国大学』経営学部教授、ワン・スボン『亜洲大学』経営学部教授、チェ・ジェウォン『ソウル大学』経済学科教授が「コリア・ディスカウントとPBRを説明する要因とは?」という論文を、2025年02月28日、発表する――と報じられました。

非常に興味深い論文で、ぜひ読んでみたいところなのですが……。

「PBR」は「Price Book-value Ratio」の略で「株価純資産倍率」と約されます。企業の株価がその企業の純資産(簿価)と比べてどれだけの倍率で取引されているかを示す指標です。

「株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)」で計算し、1未満の場合は「企業の市場価値が帳簿上の資産価値より低く評価されている」ことを意味します。

韓国ではPBRの値が低い企業が多いことで知られます。これは「コリア・ディスカウント」の結果なのでは、といわれるわけなのですが……。

韓国メディア『朝鮮日報』が、いち早く本論文の中身を報じているのです。

以下に同記事から一部を引用してみます。

(前略)
研究によると、韓国証券市場のPBRが低い理由は、消極的な株主還元や未熟な企業統治よりも、「成長潜在力が低い企業が多いこと」が大きな影響を与えていることが明らかになった。

研究チームは、企業の成長潜在力を以下の指標を使って分析した。

・資本投資収益率(ROI)(企業の投資成果を示す)
・資本支出(CAPEX)(設備投資の規模)
・企業の業歴(創業年数)

特に、設備投資(有形資産投資)と研究開発(R&D)などの無形資産投資を区別して分析した。

結果、
資本投資の規模が大きく、投資の成果が良い企業ほどPBRが高かった
有形資産投資よりも無形資産(R&D)投資が活発な企業の方がPBRを押し上げる効果が高い

さらに、韓国市場の低PBRの要因として、業歴が長く、設備投資が中心の企業が多いことが挙げられた。

特に、韓国のメイン市場(有価証券市場)ではこの傾向がより顕著であると指摘された。
(後略)

⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「韓国ディスカウント本当の原因は「成長動力の低い企業が集まった経済構造」

面白いのは、以下の結論です。

(前略)
要するに、韓国株式市場には、積極的に投資を行う成長企業よりも、業歴が長く安定的な投資を行う企業が多いため、PBRが低い傾向がある。

加えて、「価値プレミアム」が失われたことで、低PBR企業の株価上昇の余地が減少し、韓国市場全体の収益率が低迷しているというのが研究の結論だ。
(後略)

「価値プレミアム」というのは「企業価値が一時的に低く評価されていても、将来的に適正評価され、株価が上昇する」という期待感。

注目したいのは「価値プレミアム」についての考察です。

かつては「PBRが低い=割安」と見なされ、低PBRの企業でも市場で適正評価される期待(価値プレミアム)があった。しかし、最近の市場では成長企業(高PBR企業)への資金流入が優先され、低PBR企業は放置される傾向が強まっています。

「価値プレミアム」が失われるということは、成長が期待できないということです。もし、これがコリア・ディスカウントの原因だとするなら、企業および市場の責任ということにならないでしょうか。

韓国企業だからというコリア・ディスカウントは、「他人ひとのせい」ではなく「自分たちのせい」では?

(吉田ハンチング@dcp)

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