2021年12月15日、アメリカ合衆国財務省が合衆国公債の主要ホルダーとその金額のデータが公表されました。韓国の保有状況を見てみます。
韓国の合衆国公債の保有残高
2021年10月:1,254億ドル
(対前月比:-47億ドル)⇒データ出典:『アメリカ合衆国 財務省』「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」
2021年10月末現在「1,254億ドル」分を保有しています。前月には「1,301億ドル」でしたから、米国債を47億ドル分を売却したことになります。
『韓国銀行』が公表した10月時点では、韓国の外貨準備は以下のようになっていました。
外貨準備高:4,692億ドル(約52兆9,070億円)※1
(前月比:52億ドル増加)<<内訳>>
⇒Securities 4,184億ドル(約47兆1,788億円)
(証券類)
前月比:9億ドル減少⇒Deposits 258億ドル(約2兆9,092億円)
(預金)
前月比:59億ドル増加※1円換算は2021年11月09日「1ドル=112.76円」のレートで算出
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「公式外貨準備(2021年10月)」
注目はDeposits(預金)です。10月は59億ドル増加しています。
上掲のとおり、米国債を47億ドル分売却しているので、その分の現金が入手できたはずです。資産の中身の47億ドル分が米国債から現金に変わったと。
↑外貨準備は資産(assets)しか見ない。貸借対照表でいえば左側しか見ていません。
で、10月は約13億ドル分の外国為替平衡基金債券(略称「外平債」)を発行していますので、その分の外貨も増えたはずです。
↑外平債の発行は借金の手段です。返済しなければならない負債が増えて、発行して得たお金が資産側にも入ってきます。貸借対照表では右側の「純資産+負債の部」と左側の「資産の部」の金額が合わなければなりません。
ということは、47億ドル + 13億ドルで「60億ドル」。増加分59億ドルとほぼ合いますが、『韓国銀行』の説明によれば、10月は「金融機関の外貨預金」も増加要因として挙げています。この60億ドルに「金融機関の外貨預金」も加わってさらに増えたはず。
ですので、積み上がった「60+α億ドル」から59億ドルを引いた分は、Securities(証券類)に化けたか、あるいは何らかの理由で使った(assetsではなくなった)ことになります。
Securities(証券類)になったと仮定して。
10月の外貨準備のSecurities(証券類)を見ると、有価証券は9億ドルの減少です。
ですが、米国債を47億ドル減らしているので、差し引き38億ドル分は米国債以外の有価証券を増やしていないと合いません。
ということは、Deposits(預金)は「60 + 37億ドル」で97億ドルになったが、うち38億ドルは米国債以外の有価証券になった。
↑「預金」で入ってくるお金は銀行からすると「負債」勘定になります。返済しないといけないお金なので。例えば、『楽天』の貸借対照表を見ると銀行業を始めてから負債がべらぼうに増加しています。これは預金が負債勘定になるためです。
↑現金が有価証券になるので資産の部の高さ(金額)は変わらない。
その結果、Securities(証券類)は9億ドルの減少、Deposits(預金)は59億ドル増加で締まった――という推測はいかがでしょうか※。
※ドル以外の通貨資産のドル換算額の変化も外貨準備を変動させる要因になりますが、以下の記事でご紹介したとおり、『韓国銀行』はこれをきちんと反映させていない「節」があります。
(吉田ハンチング@dcp)