2022年03月16日に期日を迎えたロシア国債の利払いは、17日に無事完了したという報道が出ました。最初のハードルをクリアし、ロシアのデフォルト確定は免れたようです。
これをロシア側の報道で確認してみます。
2022年03月18日、『TASS通信(英語版)』は以下のような報道を出しています。
ロシア財務省は、アメリカ合衆国外国資産管理局が発行した05月25日まで有効な一般許可証に基づき、海外の凍結口座から外国債券保有者に1億1,700万ドルの利払いを行うことに成功した。
モスクワは、外貨準備高に対する制裁のために起こりうるテクニカルデ・フォルトに陥ることを回避したのである。
合衆国にとって、投資家への収益を拒否することは何の利益にもならないため、このライセンスはさらに延長される可能性があると専門家は言う。
ロシアは、同国の外貨準備のうち約3,000億ドルを海外で凍結した欧米の制裁により、対外債務の支払い問題に直面する可能性があった。
財務省は、凍結された資産の一部を使用することが不可能な場合、モスクワはルーブルで支払う用意があると詳しく説明した。
ロシアが03月16日に支払いを行うことができなければ、テクニカル・デフォルトに陥っていただろう。
テレトレード情報分析センターのマーク・ゴイクマン首席エコノミストは、この支払いはロシアが凍結資金を持つドル口座のあるシティバンクに転送されたと説明した。
合衆国のライセンスが失効する05月25日まで、同様の方法で支払いが行われる可能性がある。
Otkritie InvestmentのLeading Debt Market AnalystであるAlexander Shurakov氏は、ロシアの外貨建て債務の支払いが問題となる可能性がある次の日付は05月27日であると述べた。
この日は、ロシアが2026年に満期を迎えるユーロ債のクーポンを7,100万ドル支払わなければならない日である。
もし合衆国のライセンスが延長されなければ、ロシアはルーブル払いの考えに戻るかもしれないと、専門家は指摘する。
プレハノフ・ロシア経済大学のデニス・ドマシチェンコ准教授は、「合衆国政府にとって、ロシア債券に投資している自国の投資家を刺激する意味はないので、合衆国当局は、ユーロ債の支払いにロシアの凍結資産の使用を許可するライセンスを延長する可能性が非常に高い」と指摘した。
(後略)⇒参照・引用元:『TASS通信』「Press review: Russia avoids technical default and US may remove IRGC from terror list」
「テクニカル・デフォルト」とは、お金はあるのに支払い不能状態に陥ることをいいます。
先にご紹介したとおり、支払い期限がきたロシア国債にはルーブルで支払っていいという条件など入っていません。そのため、信用格付け会社も「もしルーブルで支払うといったことがあればデフォルトとみなす」という発表をしていたのです。
これはテクニカル・デフォルトです。
今回の利払いは、1日遅れましたが30日間の猶予期間内にシティバンクに送金されたとのこと。
この『TASS通信』の報道が正しいのであれば、今回と同様のルートを使って以降のドル建て債務も返済可能ということになります。
しかし、合衆国外国資産管理局のライセンスが切れる05月26日以降が問題です。
焦点は05月27日に支払期限がくるユーロ債とのこと。
合衆国がライセンスを更新しなければ「アウト」となりそうです。ただし、自由主義陣営国の投資家に迷惑をかけないため合衆国がこれを延長する可能性は高い、と識者は読んでいます。
(吉田ハンチング@dcp)