2021年05月08日、中国を西方向から抑えるための要であるインドとEUの首脳会談が行われました。これは非常に重要な動きです。
↑インド外務省の「EUとの首脳会議」についてのプレスリリース
まず上掲のリリースには、ちくちくと中国を刺す文言が入っています。以下をご覧ください。
会談を通して両首脳は、民主主義、基本的自由、法の支配、多国間主義への共通のコミットメントに基づき、インドとEUの戦略的パートナーシップをさらに強化していくと表明しました。
They exchanged views on three key thematic areas: i) foreign policy and security; ii) COVID-19, climate and environment; and iii) trade, connectivity and technology.
両首脳は、
i) 外交・安全保障
ii) COVID-19・気候・環境
iii) 貿易・接続性・技術
という3つの主要テーマ分野について意見交換を行いました。
(後略)
ご覧のとおり、中国の嫌がる「民主主義」「基本的自由」が入っており、ここに中国とは相容れないとはっきり示されています。
ちなみに、中国は自国を「法の支配」「多国間主義」を標榜する国であると主張していますが、そんなことを信じている国はもはや自由主義陣営にはいないでしょう。
中国が標榜するのは「中国共産党の下の法の支配」であり、「中国共産党による覇権主義、帝国主義の下の多国間主義」です。
また、中国は(驚くべきことに)自国には「民主主義」があり、「基本的自由」を尊重しているということがありますが、それは「中国共産党の支配する民主主義」で「中国共産党が許可する基本的自由」なので、私たち自由主義国とは根本的に異なっています。
ただ、今回ご注目いただきたいのは「接続性」(connectivity)という文言です。
「一帯一路」を粉砕せよ!
EU側としては、期待していた中国市場がまるで(政治的な焦点で)ダメなので、人口も多く、少なくとも民主主義を同じくするインドに中国の代替をしてもらおうという思惑があります。
この首脳会談においてアフリカ、中央アジア、インド太平洋を含む地域における接続パートナーシップ(CONNECTIVITY PARTNERSHIP)についての発表もありました。
これは中国の「一帯一路構想」(one Belt one Road Initiative:略称「BRI」)に対する反撃です。クアッドが中国を包囲するものであれば、今回の「接続パートナーシップ」は新たな道を作って中国の構想を古道にして枯らせてしまおうという計画です。
Money1で何度かご紹介しましたが、中国の一帯一路構想に釣られて「債務の罠」にかかった国もあり、そのようなことがないよう自由主義陣営が一致団結すれば、中国の一帯一路を粉砕することができるかもしれません。その意味で今回の首脳会談は画期といえます。
債務の罠の実例をお知りになりたい場合には以下の記事を参照いただければ幸いです。
(吉田ハンチング@dcp)