『中国人民銀行』なぜ流動性を絞ったのか。940億元を吸収

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お金をじゃぶじゃぶいても経済が上向かない中国。それでも、とにかくお金じゃぶじゃぶ状態を続けないといけません。

しかし、2024年03月15日、『中国人民銀行』はMLF(1年物中期貸出制度)を通じて、実に1年4カ月ぶりに金融市場から資金を吸収しました。これは実に不思議な動きです。

2024年03月15日、MLFを通じて3,870億元の資金を供給しましたが、当月満期を迎える同資金は4,810億元。ということは、差し引き940億元を市場から吸収することになります。銀行システムからMLF資金を純取引額で吸収するのは2022年11月以来のことです。金利は「2.50%」で据え置きました(これは予想どおり)。

03月05日に開催された「全国人民代表大会」(全人代)では、李強首相が2024年のGDP成長率は5%程度とし、世界的に「どうやって?」など懐疑的な目が向けられました。

その異論を払拭するように、06日には『中国人民銀行』の潘功勝総裁、『国家発展委員会』の鄭柵潔主任、藍仏安財政相、王文濤商務相、『証券監督管理委員会』の呉清主席が出席する記者会見が開催されました。中国経済の司令塔がそろうという異例な記者会見でした。

この席上、潘功勝『中国人民銀行』総裁は「預金準備率を引き下げる余地が残されている」と発言。『国家発展委員会』の鄭柵潔主任は、「2024年に1兆元(約21兆円)の超長期特別国債を発行するという計画は、投資と消費を促進する」と述べました。

これらは「流動性を増す用意がある」という発言に他なりません。

つまり、「2024年のGDP成長率5%を達成するために、引き続きお金じゃぶじゃぶを続ける」というわけです。

ところが、この9日後の15日、資金吸収が明らかになったのです。

一部では「中国の金融当局が余剰資金の吸収に動き始めたサイン」という見方が出ていますが、現在でさえあっぷあっぷな経済を少しでも上向かせるためには、お金をまかないと仕方がないはずです(ほとんど効きませんけれども)。

これから潘功勝『中国人民銀行』総裁が述べたとおり、預金準備率を下げるなら、お金をまく方向なので、ますます資金吸収は不思議です。

『Bloomberg』は「景気押し上げに向けた金融政策の活用で慎重なアプローチを続け、人民元相場を下支えする用意があることを示唆している」と書いているのですが。

(吉田ハンチング@dcp)

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